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2つの見方

手短に。たまたまだが、私のRSSリーダーでは「こら!たまには研究しろ!!」と「池田信夫 blog」が隣に並んでいる。で、この2つのブログが2008年のアルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン銀行賞、俗にいうノーベル経済学賞に決まったポール・クルーグマンに関する記事をそろって書いているのだが、記載があまりにちがっていて面白かったので、並べてみることにした。

元ネタはこちら。

祝♪P.R.クルーグマン!経済学賞受賞!
クルーグマンにスウェーデン銀行賞

タイトルだけ見ても温度差が伝わってくる。著者については特段説明しない。どちらも有名(少なくとも私よりはるかに)だし。経済学者と呼ばれる職業の方々のブログでRSSリーダーに入っているのは今のところこの2つ。毎日読んでるわけじゃないので正確なところはよく知らないが、おおまかにいって「方向性」は真逆に近いのではないかと思う。なので対比が目立つわけだ。

とはいえ、あんまり突っ込んでぼろを出すのもいやなのでわかる範囲で比較することにしとく。といいつつ、他の記事とかも参照したり勝手に解釈してるところもあるんだが。

項目飯田池田
予想したか?受賞は当然だがもっと後で共同受賞かと思っていたので意外予想はずれ。時節柄他に人がいないのでしかたなく、ではないか
評価のポイント反経済学への徹底した批判を行ってきた、資本主義の重要性を明確に評価していて、でもリベラル派であることを評価するその時その時で理屈を変えて世の中に媚びてきた、経済学者の卑しい部分を代表する人物なので評価しない
リフレ論についての考え方自身がリフレ論者であり、クルーグマンはリフレ論の最重要論文の著者。流動性トラップ脱却にはリフレ政策が必要主張自体「手の込んだ冗談」。クルーグマンのモデルは仮定で結論を先取りする誤謬があり、かつ負の自然利子率を外生変数としているので日本の参考にならない

というわけで真っ向から対立。意見の対立自体は別にこの方々に限らずあちこちにあるので、異常なことではないが、前者は「好き好きビーム」、後者は「こんちくしょ光線」と、どちらも感情が透けて見えるのはなかなか面白い。ほんとに正反対だね。ぜひ原文でご確認を。

ただ、見ていてこの両者にも共通点があることに気づいた。まず1つめ。どちらも、受賞理由である「International Trade and Economic Geography」を評価上最大のポイントとして挙げていないようにみえることだ。確かに、例年の理由と比べるとちょっと「地味」な感じはする。飯田氏がこの記事でリフレ論を最大の評価ポイントとして挙げていない理由はよくわからないが、「非リフレ派」よりも「反資本主義リベラル」のほうがより強力な敵、ということなのかな。池田氏の場合、クルーグマン嫌いは日米構造協議以来だそうなので、この受賞理由も許せないのだろうが、少なくともこの記事では、それよりも「意見の変節」を許せないポイントとして挙げているように思われる。どうも池田氏はこの種の人物攻撃をよくやるという印象がある。この点はBaatarismさんとかにも批判されてるみたい(参考。※追記:訂正。コメント欄参照)だが、確かにこれで損してる部分は少なからずありそう。

で、もう1つの共通点は、「クルーグマンだけじゃないだろう」というあたり。受賞者が複数の場合賞金は頭割りだろうから、1人で受賞というのはなんともうらやましい話。ま、他で稼げる人だろうから、賞金よりタイトルを得たほうが長期的には価値が高いであろうけど。


で、これにあやかってご祝儀買いを狙ったアフィリエイトなど貼ってみる便乗商法。やらしいね我ながら。

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Comments

>この点はBewaadさんとかにも批判されてるみたい(参考)だが、

すいませんが、そのリンクはBewaadさんじゃなくて僕の記事です。
まあ、時々間違えられることはあるのですが。経済学的な知識のレベルでは、まだまだあちらにはかないませんけどね。w

Posted by: Baatarism | October 15, 2008 at 12:51 PM

Baatarismさん、ごめんなさい!
すぐ直しときます。似てるといっても最初の「B」だけですよね。ほんとすいません。

Posted by: 山口 浩 | October 15, 2008 at 09:39 PM

ご無沙汰しております.

「International Trade and Economic Geography」ですが,これについて言及しなかったのは評価していないのではなく,僕らの年頃で経済学の院に行った人間にとってはあらためて言及する必要もないくらいの重要業績だからです(Krugmanが80歳あたりまで生きると仮定した上で経済学賞をとれないで終わると考えていた経済学者は皆無でしょう).誤解を恐れず非常にざっくりと言うと,ひとまず理論面では終わったと思われていた国際ミクロ経済学という分野を再生させてしまった大業績です.

Posted by: 飯田泰之 | October 16, 2008 at 11:07 PM

飯田泰之さん、コメントありがとうございます。
「ご降臨」恐れ入ります。すいません素人考えで勝手に書いてしまって。「それよりもうれしかったのは」に食いついてしまいました。
経済学の人たちの評価についてはざらっと方向性を概観したつもりなんですが、全体として受賞理由以外に着目した議論のほうが目立ちました。最近の活躍を見るとむべなるかなとも思いますが、学術的評価としてもそうだということではないんですね。しょせん素人のたわごとですのでご容赦ください。
ただ、「タイムリー」な受賞であるというところに「贈る側」の意図をみるというのは池田氏に限らず広くいわれてて私もそうなのかなと思います。そのあたりについてはどうお考えでしょうか?

Posted by: 山口 浩 | October 16, 2008 at 11:25 PM

確かにどうしてもその他の業績に目がいってしまいがちですね.日本でKrugmanがこんなに有名になったのが山形さんのせいというのもあるかな(笑)と思います.

タイミングは僕も「ウケ狙い」だと思います.だって基本的に早すぎますし(Krugmanは55歳).

Posted by: 飯田泰之 | October 17, 2008 at 09:02 AM

飯田泰之さん
そうですよねぇ。あの悪ガキ口調の論文、他では絶対お目にかからない強烈な印象を残します。ただ、あれだけ露出の多い人ですから、仮にあの訳でなくてもそれなりにふさわしい水準の注目を集めるのではないかとも思いますね。

Posted by: 山口 浩 | October 17, 2008 at 08:11 PM

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