« 世界が投票する「米大統領選」の話 | Main | 衆院選予測週刊朝日081107 »

October 27, 2008

2008年はどう予測されていたか

2008年1月5日にこんな記事を書いた。あちこちで2008年がどう予測されているかを拾ったもの。もとより「予測は二度美味しい」(by 自分)わけだが、今年は特に楽しめる。ちょっと気が早いが、再び。元記事も併せてご参照いただければ。

まずは、過去に出された予測本。

まずはこの本。私の大好きな「2008年 IMF占領」。

いや、動いたね、IMF。ただ、ちょっと国がちがった。残念。アイスランドにベラルーシ、それにパキスタンあたりが支援要請してるようだが、この本が「予測」した「日本の国家破産」は「まだちょっと」みたい。あと原因もちょっとちがうね。まあ「小さいこと」は気にしないってことかな。

あとこの本も。浅井隆著「最後の2年 ― 2007年からはじまる国家破産時代をどう生き残るか」第二海援隊、2005年。

ちょっと引用。

特に二〇〇七年にさまざまなことがスタートする可能性が高いだろう。インフレと円安が始まり、ほとんどの国民が「何かがおかしい!」と気づき始める。国債価格も徐々に下がり始め、金利が上昇し始めることだろう。さらに金利上昇の影響で政府の国債利払いは膨大な額となり、ついには予算の組めない日がやってくる。この時期こそ重大なポイントである。

おお。現在の物価動向を何と呼ぶかは、直近の状況を含めるといろいろ意見があるかもしれないが、少なくともこの本が想定していた理由とは「ちょっと」ちがうかな。金利状況も、うーん。まあそういうとこは気にしないっと。そういえばこの方、あと2年ほどで「徳政令」が出されるのではないか、と予測しておられたのだったっけ。期待に胸膨らます皆さんもおられよう。はてさて。

しつこくもういっちょ。青柳孝直著「日本国倒産への13階段―もう止められない!日本はこうして壊れていく」総合法令、2004年。

で、この方の「予測」はこうだった。

日本はアメリカと国際金融資本に握られる。

なんか遠い目に。いやしかし待て。

年内に一万円を割り込み、最終下値目標は〇四年の安値レベルの七六〇〇円。

おお!株価8000円割れを予測していた!!・・といっても、ここで書いてる「年内」とは2005年のこと。本書では、その後買い局面がやってくる、としている。さぞかしこの方つぎこんでいるのではなかろうか。合掌。あとこの方、日本の銀行や病院が皆「キャバクラ化」すると大いなる期待を込めて書いておられるが、「残念」ながら現在までそのような状況が生まれているという話は聞かない。新しいビジネスモデルとして提案されてはいかがか。

それはいいとして、比較的最近の予測も振り返っておこう。

「丸ごと一冊総予測2008;波乱の幕開け」
週刊ダイヤモンド2007年12月29日・2008年1月5日号

農林中金総合研究所主任研究員南武志氏
「今後三年間の経済成長率を予測すると、〇八年度は海外経済減速を受け一%台にとどまる。消費税増税前の駆け込み需要もあり、〇九年度は三%へ上昇する。一〇年度はその反動があるが、家計部門の改善が進み二%台前半となるだろう。

野村證券金融経済研究所チーフストラテジスト岩澤誠一郎氏
〇八年の春先までは日本株は、一万四五〇〇~一万七〇〇〇円のボックス圏、場合によってはボックスの下限割れが続くだろう。(中略)〇七~〇八年初頭の株価調整に続くのは、〇五年にいったんふくらんだ期待が実現に向かうことを評価する力強い上昇相場である。

JPモルガン・チェース銀行東京支店チーフFXストラテジスト佐々木融氏
・・少なくとも〇八年後半まではドルの対円での下落基調は続くだろう。〇八年中頃までにドルは対円で九八円程度まで下落、ユーロは対ドルで一・五五ドル程度まで上昇すると予想する。
〇八年後半から〇九年にかけてはドルが一時的に反発する公算がある。(中略)ただ、一〇年は再びドル反落を予想する。

またしても遠い目。


「景気はただ生き長らえているに過ぎず年後半は趨勢が大きく変わる可能性」
日経ビジネス臨時増刊「総力特集徹底予測2008」

スフィンクス・インベストメント・リサーチ代表取締役藻谷俊介氏
不調な米国のウエートが相対的に低下してきたお陰で、2008年の世界経済はまずまずのスタートを切ることになろう。日本経済も、外需と内需の両面で、当初から崩れることは考えにくい。今しばらくは生き長らえるイメージで良いだろう。(中略)あくまで生き長らえているだけという認識を忘れず、年後半は特に慎重に進むべきだろう。

おお。確かに「慎重に進むべき」だろうなぁ。

「50年に一度の株価クラッシュが始まった!」
週刊文春2007年11月22日号
生活経済アナリスト水澤潤氏
十月十一日に史上最高値を記録したアメリカ株が急落を続けている。
不気味なことに、今年のアメリカ株の動きは、過去二回の大暴落直前の株価の動きを正確にトレースしているように見えるのだ。このまま進めば、五十年に一度規模の大暴落Xデーが十二月五日頃にやってくる。そのとき、ダウ平均は高値から四割も暴落しているかも知れないのだ。
アメリカ株が暴落すると日本経済にも破滅的な影響が避けられない。

おおお!
これはまさにドンピシャ。12月ではないが、ダウ平均は一時の高値の14000ドル近辺から8300ドルあたりまで下がってる。だいたい4割下落。ご本人こっそり小躍りしてるんじゃないだろうか。

以下の方々は残念な結果に。

「『サブプライム動乱』はある!プロ20人が狙う100銘柄」
サンデー毎日2008年1月6・13日号
今回、株投資の20人のプロに「08年上半期の日経平均株価」を予想してもらったが、下値の平均株価は1万4135円、上値の平均は1万7149円となった。

個別には以下の通り。

経済キャスター雨宮京子氏
 下値14,500円、上値17,500円
株式評論家石川宏氏
 下値14,500円、上値16,800円
タイ株ドットコムアナリスト石田高聖氏
 下値14,000円、上値17,500円
経済株式評論家犬丸正寛氏
 下値14,800円、上値16,900円
ストックボイス・キャスター岩本秀雄氏
 下値15,000円、上値18,000円
株式評論家植木靖男氏
 下値15,000円、上値16,500円
金融ジャーナリスト川口一晃氏
 下値14,200円、上値17,500円
ファンドクリエーション、インベストメントアナリスト木下晃伸氏
 下値14,500円、上値17,500円
株式評論家木村佳子氏
 下値14,000円、上値16,300円
フィスコチーフアナリスト佐藤勝己氏
 下値14,500円、上値17,000円
スガシタファイナンシャルサービス代表菅下清廣氏
 下値14,500円、上値17,500円
経済評論家杉村富生氏
 下値14,700円、上値16,600円
経済アナリスト田嶋智太郎氏
 下値14,500円、上値18,500円
アセットベストパートナーズ ディレクター中原圭介氏
 下値14,000円、上値17,500円
経済ジャーナリスト仁科剛平氏
 下値14,000円、上値16,670円
東京IPO編集長西堀敬氏
 下値13,500円、上値18,000円
株式投資コンセプター葉室みどり氏
 下値14,000円、上値16,500円
T&Cフィナンシャルリサーチ、日本株情報部マネージャー東野幸利氏
 下値14,000円、上値17,000円
ファイナンシャルプランナー深野康彦氏
 下値12,500円、上値17,200円
カブ知恵代表取締役藤井英敏氏
 下値12,000円、上値16,500円


円=ドルレートに関しては、「例のあの人」がなかなかいい線。

「2008『ドル崩壊』であなたの『資産消失』緊急シミュレーション」
週刊ポスト2008年1月4・11日号

経済アナリストの森永卓郎氏(獨協大学経済学部教授)は、サブプライム・ショックを端緒として08年中にさらなるドルの暴落が起こりうると予測する。「サブプライム問題の処理や中東情勢次第では、一気に80円近くまで落ちる可能性がある

今のところ90円台。80円台というと、95年ごろの水準か。そのレベルまでいくかどうか。

さらに過激な常葉学園大学の副島隆彦教授はこう。

私の分析では、08年暮れまでに80円、さらに2~3年のうちに60円、世界的な大恐慌に至れば30円台もありうる。ドルが紙クズになることも想定しておくべきです

こちらも08年中は同程度だが、さらに進み、ドル紙くず化を予測。ひええ。昨今の情勢だと妙に真実味があったりするのだが、さすがにそこまで予測する人は少数だろう。

たいへん不勉強で申し訳ないが(詳しい方ぜひ教えていただきたい)、私の知る限りでは、予測が当たった人はよく目にするものの、予測を当て続ける人はあんまり見たことがない。2005年ごろの書籍と2008年初頭の予測を比べてなんとなく想像がつくのは、1年先でもけっこう難しくて、仮にうまくいったとしても3年先となるとかなり厳しいということ。だから予測に意味がないというつもりはないけどね。


※追記
最近とみに経済ニュース化の傾向著しい「Garbagenews.com」が似たテーマで記事を書いてるのでリンク。
昨年末の著名アナリストによる日経平均予想レンジをグラフ化してみる

※追記
上に出ている方々は基本的に「学者」ではなく「エコノミスト」。「経済学者」を意味する英語は「economist」だが、その意味では、少なくとも日本で「エコノミスト」と呼ばれる方々のほとんどは「economist」ではない。たとえ大学で「教授」と名のつくポストにあったとしても、研究者でない方はたくさんいる。研究者は上記のような「来年末の株価は」みたいな」具体的な「予測」に対しては慎重な態度をとるのがふつうだと思う。

|

« 世界が投票する「米大統領選」の話 | Main | 衆院選予測週刊朝日081107 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 2008年はどう予測されていたか:

» H-Yamaguchi.net: 2008年はどう予測されていたか [トレフォ - 投資家のためのソーシャルニュースサイト]
あちこちで2008年がどう予測されているかを拾ったもの。もとより「予測は二度美味しい」(by 自分)わけだが、今年は特に楽しめる。 [Read More]

Tracked on October 27, 2008 10:34 AM

» どうなる東京株式市場 注目は27日寄り付きとCDS進捗 [ハズレ社会人]
オツカレです。 明日東京市場でバブル崩壊後の最安値を割れる事態だけは免れたい。 [26日 日経]市場安定化策の詰め急ぐ 資本注入枠、経財相「10兆円くらい」  政府は26日、緊急市場安定化策について、週明けの公表を目指して引き続き詰めの作業を急いだ。焦点の... [Read More]

Tracked on October 27, 2008 01:55 PM

« 世界が投票する「米大統領選」の話 | Main | 衆院選予測週刊朝日081107 »