3つの「My Fair Lady」
小ネタ、かつ徹底的に個人的趣味に走った話。ミュージカル映画というジャンルの映画がある。今は実写ではほぼ滅んだような状態で、わずかにアメリカのアニメーション映画の一部に残るくらいではないかと思うが、かつてはさかんに作られた。登場人物がいきなり歌いだす非現実的な展開も、映画を「スクリーンで見る演劇」と考えればさほど違和感はない。
その中でも個人的にけっこう好きなのが「My Fair Lady」。説明不要の超有名な作品。あまりにメジャーなのでうっかり好きとかいうとこいつ素人だなと思われそうだが、もちろん素人なのでそんなのは平気。中間で休憩が入るところなんかも舞台っぽくて面白いのだが、それはさておき。たまたまYouTubeで歌ってる動画を見つけたので貼ってみるというだけの話。
有名な作品だから、この程度の蘊蓄はもちろん自慢にならないのだが(以下に書くことのほとんどはWikipediaにも出てる)、念のため。もともとこの作品はジョージ・バーナード・ショーの戯曲「Pygmalion」を原作としたミュージカルで、それを映画化したもの。ちなみに「Pygmalion」はもともとギリシャ神話に出てくる王様の名前。自分が作った人形に恋して、人間になるよう望んだら神様が人間にしてくれて、という話で、たぶんヲタの皆さんにはひょっとしたらなじみのある設定ではないかと思うのだが、それはどうでもいいとして。
で、もともと最初にロンドンでロングランを記録した舞台のほうのミュージカルでは、Julie Andrewsがイライザ役だったのも有名な話。映画化の際にも当初イライザ役として検討されたが、プロデューサーがルックス重視でAudrey Hepburnを起用したとか。とはいえミュージカルなわけで、歌が命。Audrey Hepburnは張り切って歌のレッスンをして撮影に臨み、実際に歌も吹きこんだのだが、最終的には歌のほとんどがMarni Nixonによって吹き替えられて激怒した、というあたりは、IMDBに書いてあるので興味のある方は見てみるとよかろう。
で、YouTubeにあったのは、同じ曲を3人がそれぞれ歌ってるもの。一番有名な曲「I Could Have Danced All Night」。
映画で使われたのはこれ。歌はMarni Nixonによる吹き替え。
で、同じ曲をオードリー・ヘップバーン自身が歌ったもの。努力は認めるが、やはり吹き替えて正解、といったところか。この歌では使われていないが、映画全体としては、オードリーの歌声も別のところで一部だが使われている。ちゃんと注意して聴いてれば一発でわかるはず。
で、この曲をジュリー・アンドリュースが歌ったもの。残念ながら途中で切れてるが、差は歴然。これを聴くと、映画もこの人でよかったのではないか?なんて思ったりするが、まあいろいろと大人の事情があろう。そう思う人は他にもたくさんいるようで、YouTubeには、オードリー・ヘップバーンの映像にジュリー・アンドリュースの声を重ねた動画が上がってる。興味のある方は探してみては。この記事の下にロンドン公演時のキャストによるCDがあるが、これは個人的に愛聴版。ぜひ他の曲も聴いていただきたいね。ヒギンズ教授も同じレックス・ハリソンだが、こっちのほうがいいと思う。
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