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March 16, 2009

いま「あの人たち」がいたらどんな布教活動をするだろうか

最近「聖☆おにいさん」が面白くて、という話は前にも書いた。ああいうノリはある意味現代日本ならでは、だろう。「ヘタリア」の例をみるまでもなく、世界には冗談の通じない人たちがたくさんいるので、そういう面々の目に留まらないことを祈るのみ、ではある。個人的には充分好意的な扱いだと思うんだがね。

とはいえ、ちょっと気になる点もある。これも前に書いたが、もし「彼ら」が、本当に今の日本にいるとしたら、あのようなお気楽な暮らしをしていただろうか、という点。いろいろ問題はあっても世界の中でみれば恵まれたほうの国に属すると言わざるを得ない日本だが、じゃあ人々が心安らかに暮らしているかというと、とてもそんなことはいえない。もちろん世界の他の国にいたとしても、やはりそれぞれ深刻な問題はある。おそらく「彼ら」は獅子奮迅の活躍を、ということになったのではないか。

で、つらつらと想像をめぐらせてみるわけだ。ブッダやイエスなどがもし現代に生まれていて、いまから布教活動を始めるのだとしたら、どんな方法をとるだろうか、と。

固有名詞を入れるといろいろ史実との関係とかめんどくさいので、とりあえず一般論的に「教団」としておこう。「教祖」となる人がいて、自分で宗教を立ち上げ、信者を増やそうとしている、ぐらいに考える。いわゆる「絶対者」を想定するかどうかは教義によるだろうが、まあここでは「存在する」と想定してみようか。「空飛ぶスパゲッティモンスター(FSM)」でも「見えないピンクのユニコーン(IPU)」でもいいんだが、何者かが世界を創造したと考えておく。

当然、教えを説かなければ信者は集まらないわけで、まずは説法をどうするか。昔の絵とかでは教祖の周りを人が取り囲んで聞き入ったりしてるわけだが、当然ながら最初からそんなに人を集められるわけがない。「下積み」時代をいかに早く抜けるかがカギとなろう。当時の説法のスタイルは、当時の技術水準に依存していたのであって、別にそれに限られる必要はない。より多くの人に考えを伝えようというなら、使える方法はどんどん使っていくべきなのではないかな。

ちょっと前なら、がんばってラジオやテレビの番組提供なんかをやったことだろう。今でもやっているところはある。しかしあれは、けっこう資金がいる。もちろん信者がたくさんいればかなりの額の浄財が期待できるだろうが、初期にはそうもいくまい。幸い、今は資金がなくても「コンテンツ」の質が高ければ、それなりに関心を集められる可能性はある。その意味で、ウェブでの情報発信は必須だ。とりあえずここでは、ウェブでできそうなことを並べてみよう。

まずは公式サイトを立ち上げ、教祖からのメッセージや教義のエッセンスを伝える。当然、動画コンテンツも作るね。それから活動内容の説明、イベントのお知らせ、各地の「拠点」(教会みたいな施設)のリストと地図、関連書籍なんかの通販も。このあたりまでは定番だ。「相談室」みたいなのあるといいな。信者や潜在的信者からの質問や相談に答えるという体のものだが当然実際には仕込みで、実質FAQの役割を果たすもの。

動画投稿サイトの活用も欠かせまい。YouTubeやニコニコ動画には公式チャンネル。こちらは、教祖メッセージもさることながら、むしろ各拠点の活動を伝えたい。たとえばこんな感じに。

「奇跡」系の団体の皆さんは、こちらで奇跡の証拠動画を公開、という手もあるが、どうせばれるのであまりお勧めしない。

それから、携帯電話でボイス配信もやったらいい。毎週、教祖様のありがたいメッセージが届くわけだ。某スピリチュアル系の方が実際にやってるらしい(参考)。ここで占いとかに手を出せば収入は倍増するだろう(今週のあなたはアンラッキー!解消するにはこのグッズを、みたいな感じで通販に誘導できる)が、まあ宗教者の矜持としてそれはまずかろうからぐっとがまんして。

あと、今はUGCを欠くことはできまい。最低「信者からの声」は入れたいな。「入信して人生が変わりました!」みたいなやつ。三大ご利益は「健康・恋愛・金銭」だからそこをきっちりカバーして。しかしそれだけではだめだ。もっとインタラクティブにいかないと。ここは一番、SNSを取り入れよう。イベントのお知らせができたりするだけじゃない。その人の交流周囲に信者がたくさんいれば、うまく囲い込みができる。「信者ロイヤリティ」が高まるわけだ。既存のSNSを使うのも手だが(信者の教団外の人間関係をチェックできるし、勧誘にも使える)、まあここは無難に自前のものを立ち上げるとよかろう。大手SNSで勧誘して、だんだん自前のSNSに引きずり込むと。

「信者ブログ」もいいかもしれない。信者にブログを作らせて、自分の信仰生活について書かせるわけだ。同様のブログがたくさんあれば、互いの励みにもなる。となればやはり、有名人を信者に迎えたいところ。有名人に信者ブログを書かせれば、そこがハブになって互いの交流もさかんになるし、トラフィックの増加が期待できる。ただし教祖様がブログを持つべきかどうかは微妙。あまり身近になりすぎてはカリスマが保ちにくいからね。むしろ「信者アイドル」を狙うほうがいいかも。信者の中から人を選んでアイドルに仕立てていくと。ある程度の母数が必要だろうが、信者勧誘の時点からある程度選別しておくといいかもしれない。

オンラインゲームの活用は検討課題かな。今は昔ほど参入障壁は高くない。悪をやっつけて徳を上げるゲーム、なんてのはロイヤリティ高まりそうだし、オフ会への誘導もありうる。教義をさりげなく織り込みながら、宗教色を隠して運営、という手もあるぞ。

信者の中にはネットに詳しい者もいるだろうから、ネット対策チームも作っておくといい。勧誘の面からはSEOも重要だろうが、ここではむしろネット世論対策に着目しよう。この分野にも専門チームをおきたい。某巨大掲示板やブログ、大手SNSなんかを巡回して、好ましくない言論には反論や批判を、好ましい言論には賞賛を。最近のマスメディアは、某巨大掲示板でちょっと盛り上げれば「ネットで話題」と話を拡大して騒いでくれるから、ある程度の人数がいれば「ネット世論オプティマイゼーション」(NYO)もさほど難しくないだろう。自分のところのサイトでも炎上なんかを起こさせないよう監視しておくのは当たり前だな。

他にもいろいろあるだろうけど、ひとまずこんなところで。今のところ、こういう手でリーチできそうなのはどちらかといえば若年層ということになる。まあそれはそれでよかろう。ただ、状況はこれから大きく変わっていくのではないか。現役としてパソコンを仕事で経験した層がこれからリタイアして暇になっていくし、高齢者の情報化も進んできている。高齢者も充分ターゲットになりうる。

こうみてくると、ネット企業がやってることとあんまり変わんないな。新興教団の皆さんのご参考になれば幸い、というかこのくらいのことはもうやってるかもね。詳しい方ぜひご教示を。

あと蛇足だが、この種の勧誘活動を大学内でやるのはぜひやめていただきたい。いろいろ差し障りがあるので。そこんとこよろしく。

※2009/3/31追記
そういえばローマ法王もYouTubeチャンネルを開設してるね。

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