パーティ券代を返却するということはつまり・・
手短に。かつ一見まじめっぽく見えるかもしれないがけっこう不まじめなのであらかじめ。西松建設の裏金事件がらみで、民主党の小沢党首があれこれ取りざたされてる件は、国策がどうとかいう話は別にして、基本的には昔からよくある構図っぽく見える。実はその件よりも、自民党のほうにも同様のケースがあるらしくて、そっちに対する当該政治家の皆さんの対応の方が興味深い。
買ってもらったパーティ券代を返却するという話もよくあるといえばあるんだろうが、返却しようとしたら当該購入者である政治団体がなくなっちゃったっていうのがなんとも笑える。供託ってのもスジがちがうし、まさか西松建設には返せないよね、なんていうオチめいたところまでついちゃって。いやこれは顛末をぜひ知りたい。小沢党首のほうも、そのうち返すなんて話が出てくるんだろうから、どうすればいいのか気になるはず。
で、ちょっと気になっちゃったのは、そもそも「返す」ってどういうことよ、というあたり。実態が資金集めの口実であることは周知の事実でも、一応パーティを開いてるわけで、「役務」は提供されたわけだ。ま、出席しなかったという場合もあるだろうが、その場合に返金すべきかどうかも契約によるだろう。一般的な宴会の予約なら当日ドタキャンは100%徴収だろうし、一般的にはパーティ券買って行かなかったら払い戻しという慣習はあまり聞いたことがない。そもそもパーティ券ってのは先に収入を確保するために使うわけでさ。小沢党首がらみでは形式だけのパーティがあったそうで(これも面白いね)、もしそうなら「役務の質に問題があった」として返す理屈はあるのかもしれないが。
もし出席してて、「返却」する先もあるとする。もし上記のようであるなら、いったん対価を払って提供されたサービスの対価を返すわけで、しかもそれがサービスの質に問題があったとかではないんだとすれば、本来返すいわれはないはず。となると、「返却」自体が政治家ないし主催団体からの贈与とか寄付とかにあたらないんだろうか。法律をよく知らないが、そういうのって公職選挙法だか政治資金規正法だか的にみてあんまりよろしくないような気がするんだがどうなんだろう?
あと、パーティという役務に実体がなかったり、パーティ券の価格に比べて著しく低い価値しかないとすると、なんつうか、「優越的地位の濫用」とか、「国民生活センターに相談」とかみたいなことばが頭をかけめぐっちゃう。もちろん政治団体は独禁法上の「事業者」じゃないんだろうし、「不当表示」でもないんだろうけどさ。なんか都合よく使い分けてるような印象がぬぐえないんだよな。
※追記。というか脱線。
政治家の資金集めパーティついては、政治資金規正法に規定がある。こんな条文。
第8条の2(政治資金パーティーの開催)
政治資金パーティー(対価を徴収して行われる催物で、当該催物の対価に係る収入の金額から当該催物に要する経費の金額を差し引いた残額を当該催物を開催した者又はその者以外の者の政治活動(選挙運動を含む。これらの者が政治団体である場合には、その活動)に関し支出することとされているものをいう。以下同じ。)は、政治団体によつて開催されるようにしなければならない。
「残額」っていう表現がなんかうそっぽいよね、というあたりはともかくとして、そうか「催物」なんだな。別にホテルとかじゃなくても、「○○君を励ます会」とかじゃなくてもいいわけだ。ふむ。つまり、よくパーティの主催をする人たちがいるけど、民間企業としてやるんじゃなくて、政治団体を名乗るって手もあるってことか?(そういえば、そういう類の人たちっているね)まあそれはおいといて、実際にすんごく面白いイベントを企画してお金を集めるっていう発想があってもおかしくないような気もする。特に秋葉原で大人気の首相なんかは、秋葉原でそっち向けのイベントを開いたら、けっこう資金が集まるかも?コンパニオンにメイド服とか着せて。・・「客単価」がちがうから無理かな。
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Comments
日経ビジネスに吉村作治先生の金集めと研究の話が載っていますが、そういう風に「本当に稼げる」パーティ券ならば何の問題も無いのでしょうけどねぇ・・
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090302/187718/
東国原知事の稼ぎはこういうのに当たるのかもしれないなぁ、とふと思いました。
Posted by: skywolf | March 08, 2009 07:17 AM
skywolfさん、コメントありがとうございます。
吉村さんという人は、いろいろいう人もいるようですけど、こういうところは素直にすごいと思います。麻生首相も人気がありますから、やればできるんじゃないかと思うんですけど、ああいう捨て身なところはなさそうですね。育ちのいい方ですし。
Posted by: 山口 浩 | March 09, 2009 09:02 PM
パーティー券代の返却、私も違和感有ります。
というか政治資金規正法もものすごく奇妙な内容で、政治団体しか受け皿になれないとか、ものすごく歪んでるし。
個人に対する企業からの献金を認めた方が、よほどすっきりした構図になると思うんですけどね~。
パーティーなんて開かなくても済むようにもなるから、ホテルとか宴会場ビジネスの皆さんは困るかも知れませんが、パー券1回の支払いが150万円が上限とかもわけがわからん設定ですしね。
いろいろ不思議な決まりに沿って物事が動いてて気色悪いです。
Posted by: 名無之直人 | March 09, 2009 09:05 PM
名無之直人さん、コメントありがとうございます。
あの法律、なんともうそ臭くてみみっちい感じがして嫌いです。厳しく決めてるみたいに見せといて大事なところはきちんと抜け穴を用意してあって。パーティっていうのもなんともうそ臭いですね。ああいうのは収益事業として課税してもいいんじゃないかと思います。
そもそも企業が見返りなしに政治資金を出すこと自体、背任じゃないかと思います。出してもいいなら、むしろ対価として何を得たかを問うほうがスジのような気がしますね。
Posted by: 山口 浩 | March 09, 2009 09:25 PM