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April 26, 2009

経済学者の皆さん、今こそ議論に参加すべきときではなかろうか

やや手短に。短いキャッチフレーズは、政治的には効果的かもしれないが、慎重な検討とか充分な議論とかを全てすっ飛ばしてしまうことになりがちという意味で、警戒すべきではないかと思う。ちょっと前の「構造改革」もそうだったが、今でいうと「100年に一度」がそれに当たるだろうか(または「みぞうゆうの」かな)。ここ数年を思い出せば「おいおい冗談だろ」的な内容が「緊急時だからしかたない」で片付けられ、これまで首をすくめていた人たちがこぞって動きだしてるみたいだ。

専門外なので、口をはさむのはどうかとも思うのだが、これだけは気になる。学者の方々の間での議論があまりにも少ないのではないか。いやしてるのかもしれないが、それが伝わってこなさすぎるのではないか。

こういう状況のときにどのような政策、あるいは政策パッケージが必要なのかについての議論は、少なくとも専門家の間では、決して収斂はしていない。それぞれの方はそれなりの考え方があって、それだけを聞けば「ああなるほど」となるが、別の方の話を聞けばまた別の「ああなるほど」となるだろう。この分野では「真実」は「聖杯」のようなもので、実際のところは事後ですらよしあしがよくわからなかったりする。長く続いた前回の不況を脱した経緯についても、平均的な見解はあるにせよ、「左右」の幅はかなり広い。色でいえば「ほぼ真っ白」から「ほぼ真っ黒」まで、あるいは赤っぽいのから緑っぽいのまで含む「灰色」、といったところではないか。

で、問題意識は、専門家の発言が少ないことだ。「エコノミスト」の皆さんも専門家なのだろうが、ここではあえて除いておこう(前にもどこかで書いたが、少なくとも日本における「エコノミスト」は、英語の「economist」とはちがったニュアンスを持つように思う。「エコノミスト」の皆さんは発言してなんぼの商売だから、発言が不足なんてことはありえない)。つまり研究者の方々だ。こういう方々はえてして事後的な分析を好む傾向がある(予測するとはずれるかもしれないからね)が、今とるべき政策についての議論をもっと学者間で戦わせるべきではないか、ということ。

反省事項を1つ。最近「マネーゲーム」やら「拝金主義」やらといった厳しい評価で逆風にさらされる金融工学だが、少なくとも教科書に載っているようなレベルでいうなら、ほとんどはリスクヘッジないしリスクコントロールのための技術であり、その評価モデルの前提条件からくる適用の限界だってちゃんと知識として共有されてるはずだった。しかし実際には、「頭のいい」実務家の皆さんによってモデルの前提を無視して拡大解釈され、モデルが典型的に想定したものをはるかに超えた使われ方をし、結果として明らかに不合理な結果を招いた。その間、研究者はあるいは「象牙の塔」に閉じこもり、あるいはむしろそうした動きに加担したりして、結果として、全体としてみれば、危機の到来をむざむざと許してしまったわけだ。これは研究者にとって、ひとつの「敗北」だと思う。マクロ経済の専門家の皆さんも、同じような「失敗」を何度となくしているものと思うが、その中でも今回は「失敗」すればそれこそ「100年に一度」の損失となってしまうかもしれない。

ちょっと前に、テレビ朝日の「サンデープロジェクト」で、竹中平蔵氏とリチャード・クー氏が「対決」していたが、ああいう議論がもっと必要だと思う。それぞれの立場、あるいは他の立場にも考えを同じくする研究者がいるはずで、ぜひ「団体戦」をやっていただきたい。もちろん、対立する部分だけじゃないはずで、全体として合意できるポイントも少なからずあるだろう。そういうめんどくさい議論は一般の人にはわかりにくいかもしれないが、わかる部分もたくさんあるだろうし、そこそこわかる人もたくさんいるはずだ。少なくとも、そういうことをしないでいいという理屈は通らないと思う。

全体として、社会科学に関与する人はもっと社会に関わるべき、という意見。自分も含めて、自戒を込めて。

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 私は元々工学系の人間だが、趣味で放送大学などで経済学系の勉強もしてきた。常々思うのだが、経済学というのは、理工系の人間の趣味としては最適ではないだろうか。特に定年後などの知的な趣味としてもいいのではないかと思う。  現代の経済学というのは、結構数学をつかう。数学を使って物事を理解し解析するのは、元々理工系の得意とするところだ。だから海外には、理工系出身の経済学者も結構いる。わが国でも野口 悠紀雄氏が工学部出身だというのは良く知られた話である。また我が国で一番ノーベル経済学賞に近いと言われている宇... [Read More]

Tracked on April 26, 2009 09:13 PM

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