ならばさっさと売っぱらうがよかろ
報道してる人たちって、ほんとに理屈がわかって書いてるのか知らないけど。
鳩山邦夫総務相は7日の閣議後の記者会見で、日本郵政が保有する宿泊・保養施設「かんぽの宿」の鑑定評価額に関する総務省の独自調査結果を公表した。日本郵政が当初予定していた譲渡額に比べ1.7倍になったという。
はいはい上がった上がった。よかったね。だったらその値段でさっさと売り払ったらよかろ?いるんだよね?買い手。
この日経記事は、一応事業評価と不動産鑑定がちがうことくらいはわかって書いてるようだが、ならばこういう印象を誘導するような書き方はさらにたちが悪い。ちょっとでもまじめに調べれば素人だってすぐわかる話なんだが、事業にせよ不動産にせよ、評価というのは前提条件が非常に大事なのであって、それを変えると評価額はかなり自由にいじることができる。この状況で評価しろといわれたら、当然ながら高くなるように前提条件を作るよね。
同省は譲渡予定だった70施設と社宅のうち、21施設を対象に調べた。収益見込みなどを計算し直した結果、現状の鑑定額は148億円で、日本郵政の譲渡予定額89億円を大幅に上回ったとしている。ただ、調査は黒字の施設だけを対象としたほか、従業員の雇用を継続する前提条件は付けていない。
で、前にも書いたが、今回の一件の最大のポイントは、「そもそも雇用と事業の維持最優先を前提にすべきか?」という前提条件の適否の話であるわけだ。だから総務大臣氏にせよマスコミにせよ、売却価格が高いかどうかではなく、日本郵政が今回の売却の前提条件としていた、職員の雇用や労働条件を守るべきか?について論じるべきなのではないかな。別に私はこの点に関して日本郵政の肩を持つ気はないので、雇用の維持を絶対条件にすべきとは思わないのだが、大臣氏もそうなんだろうから自分の口ではっきり言ってやりゃいいと思うんだよね。"You're fired!"ってさ。こんなふうに。
・・いや、まあこれは極端だが。ともあれ、このタイミングでわざわざ鑑定評価額を出したわけだから、さっさとこの値段で売ったらいいじゃないの。当然、ここの評価からはずした物件もすぐにね。そっちの評価額を出さなかったことも(小物件が多いのかもしれないけど)ある意味「恣意的」ではあると思うんだけどな。(あと、作業した人たちは認めないだろうけど、実際にその価格で売ることを事実上は前提にしてない可能性だってあると思う)
買い手がいなきゃ、大金持ちの総務大臣氏が買ってくれるのかな?あ、大臣氏は固定資産税評価額にこだわってるのだったっけ(これっていかにも閣僚っぽいこだわりだな。資産公開で慣れてるんだろうね。でも大金持ちなんだから、不動産が一物一価でないことくらいは経験上知ってると思うんだけどねぇ)。もっと高く買ってくれてもいいんだよ?もうちょっと「本気」で前提条件をいじれば、そのくらいの価格まで引き上げることはそれほど難しくないと思うぞ。あ、あと、損失が出たら補填もしてくれるんだよね?
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Comments
温泉情報: 簡保の宿、マスコミは何も知らない
http://noseonsen.justblog.jp/blog/2009/02/post-4ae2.html
政務調査費を受け取り拒否するような元町議会議員で
簡保の宿を真っ当に買って運営している人のブログ。
コレを読んでなお その話が筋違いな詭弁なのかどうかは
読んだ人が判断するしかありませんが。
Posted by: ddd | April 10, 2009 04:36 AM
dddさん、コメントありがとうございます。
記事本文が個別の物件についての話をしているのでないことはおわかりいただけるかと思います。
問題は、この売却がどういう目的であって、そのためにどういうやり方をしたらいいかについての議論があまり聞こえてこないということです。いろいろな人がそれぞれの立場から都合のいい一部を切り取って主張しているだけですので。
Posted by: 山口 浩 | April 10, 2009 08:20 PM