新型インフルエンザ感染者のニュースを見ていて気になったんだが
新型インフルエンザのニュースがどんどん飛び込んできていて、けっこう錯綜しているものだから、追いかけるのも大変なほどだったりするのだが、つらつらと眺めていて、なんだか気になることが1つある。あらかじめことわっとくと、この分野にはまったく素人なので、そもそもそういう前提の話だが。
感染例として伝えられているのは、どうもどちらかというと女性が多いように思うのだが、どうだろうか。
各社の報道から、感染者の性別がわかりそうな部分だけを抜いてみると、たとえばこんな感じ。
毎日新聞 5月5日
韓国政府は同日、新たに韓国人女性(44)の感染を確認したと発表。感染者は計2人になった。メキシコから帰国した1人目の感染者の女性(51)を仁川空港まで迎えに行き、感染したとみられる。
時事通信 5月5日
カナダのアグルカック保健相によると、新型インフルエンザに感染し4月30日に西部アルバータ州エドモントンの病院に入院した少女が重症に陥り、集中治療室に入った。
共同通信 5月5日
スイスでは軍基地で見習い兵2人が感染した疑いがあることが分かり、兵士ら約250人が基地内に隔離された。
中国新聞 5月5日
英保健当局者は4日、同国で新たに9人の新型インフルエンザ感染が確認されたことを明らかにした。同国の感染確認者は計27人となった。 9人のうち5人は、ロンドン南東部の同じ学校に通う子どもで・・
47 News 5月4日
イタリアの保健当局は4日、同国で新型インフルエンザに感染した患者が新たに2人確認され、計4人になったと発表した。新たに確認されたのは、最近メキシコから帰国した16歳の少女と11歳の少年で、ローマの病院で治療中。
FNN 5月5日
新型インフルエンザは4日、新たにポルトガルで、メキシコから戻った女性1人の感染が確認され、感染は21の国と地域に広がっている。
時事通信 5月5日
CDCによると、これまでに米国で確認された感染者は36州で計286人(うち入院35人)で、62%が18歳未満だった。
時事通信 5月4日
コロンビアのパラシオ社会保障相は3日、同国で最初の新型インフルエンザ感染者を確認したと発表した。メキシコ旅行をしたばかりの42歳の男性という。アイルランドでもメキシコから帰国した男性の感染が確認された。
朝日新聞 5月3日
新型インフルエンザの二次感染が確認されたドイツで3日、病院内で感染したと見られる男性感染者1人が新たに確認された。DPA通信などによると、この男性は新型インフルエンザに感染し、入院した患者と同じ南部バイエルン州の病院に入院中だった。ドイツでは看護師の二次感染も確認されており、院内感染の拡大が懸念されている。
読売新聞 5月3日
新型インフルエンザの感染は拡大を続け、AFP通信は2日、イタリアで男性1人の感染が確認されたと伝えた。男性は50歳代で、4月下旬までメキシコに滞在、すでに回復したという。・・感染疑いの出た国は、男性2人に感染疑いのあることがわかったインドを含め、19か国となった。
毎日新聞 5月3日
感染確認患者・死亡者の特徴は、首都圏のメキシコ市・州に集中している点だ。1日現在、同市・州だけで感染者330人、死者14人。死者16人のうち12人が女性で、9人が21~40歳だ。
中日新聞 5月2日
香港政府は1日、中国・上海経由で香港を訪れたメキシコ人男性(25)が新型インフルエンザに感染しているのを確認したと発表した。
日刊スポーツ 5月2日
ドイツではメキシコ旅行帰りの男性の感染が確認され、計5人となった。
MSN産経ニュース 5月2日
フランスのバシュロナルカン保健相は1日夜、民放テレビで、フランスで初めて新型インフルエンザの感染者が2人確認されたと述べた。2人は男性(49)と女性(24)で、いずれもメキシコへの渡航歴がある。
MSN産経ニュース 5月1日
ドイツ保健省は1日、南部バイエルン州で新たに女性1人の新型インフルエンザ感染が確認されたことを明らかにした。複数のドイツ・メディアが報じた。同国での感染確認は4人目。
47 News 5月3日
ドイツの保健当局者は2日、南部バイエルン州で新たに男性1人の新型インフルエンザ感染が確認されたことを明らかにした。同国での感染確認は6人目。男性は38歳。メキシコへの渡航歴はなく、ドイツ国内で2次感染したとみられる。
朝日新聞 5月2日
ドイツ保健省は1日、南部バイエルン州で看護師の女性1人が新型インフルエンザに感染したことが確認されたと発表した。DPA通信などによると、この女性は新型インフルエンザ患者の看護にあたっており、二次感染した可能性が高いと見られている。・・一方、英スコットランドで1日、新たに感染が確認された男性は、メキシコから帰国して発症した男性の友人で、二次感染者という。
他にもあるだろうが、ぱっと目についたあたりを拾ってみた。「女性だけ」というわけではもちろんなく、せいぜい「どちらかといえば」「やや」といった程度。でも、少なくとも今まで私たちが知らされている情報の範囲内でいえば、どちらかというと女性のほうが多い傾向にありそうだ。特に、メキシコで5月3日時点の死者16人中12人が女性というのが気になる。それに、ここには挙げなかったが、日本で毎日発見される「疑いのある事例」も今のところ女性の場合が多いようなのも、なぜなんだろう?と思わせる。
もちろん、だからといって「女性のほうが新型インフルエンザにかかりやすい」という結論になるとは限らない。今感染している人たちがたまたま女性が多いだけなのかもしれないし、感染拡大をもたらす「接触」の機会が女性の場合のほうが多いのかもしれない。医療関係者への感染例もけっこうあるが、医師よりは接触頻度の高い看護師のほうが感染リスクは高そうだし、重症化している事例は多くが早期治療を受けなかった場合だそうだが、女性のほうががまん強いのかもしれない。あるいは逆に、女性のほうがより積極的に医師に相談する傾向があって、発覚しやすいのかもしれない。メキシコへの旅行者に感染者が多くいるが、女性のほうがメキシコに行きたがる傾向があったりするかも?さらに、すべてのニュースが感染者の性別を明らかにしているわけでもない。女性が感染した場合のほうが記事で性別を書かれやすいのかもしれない。あと、もし仮に、本当に女性のほうが新型インフルエンザにかかりやすい傾向があるとしても、それが「特別」であるかどうかは別の問題。インフルエンザ一般の傾向なのかもしれないし。少なくとも私はその点についてまったく知らない。
そういうわけで、そもそもまだこういうことを論じるには時期が早いとは思う。別に妙な風説を広める気もないのだが、ついニュースを見ていて気になったもので。このあたり、ちゃんと調べて教えてくれるとうれしいなぁ。
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Comments
はじめまはして。
日々楽しく拝読させていただいております。
新型インフルエンザに対する日本の報道ですが、正確性に欠け、あまりに大げさなような気がします。
メキシコ以外で豚インフルエンザにかかって死亡したのは、メキシコから米国にやってきたメキシコの幼児一人と米国で1名のみ(WHO)。感染者数は1516名。5月5日のWHO発表では、今回の豚インフルエンザは、通常のインフルエンザと同じ程度の感染症状を起こすだけで、風邪を引いた程度の症状しかないとのことです。
もちろん体調に気をつけるのは非常に望ましいですが、そこまでこの病気を恐れなくてもいいのではないかと思います。
Posted by: クマ | May 06, 2009 09:52 PM
クマさん、コメントありがとうございます。
今のところ、「女性」ではなく「若い人」に注目が集まっているようですね。いずれにせよまだよくわかっていないので、大げさに騒ぐのも、無視するのもよくないでしょう。警戒は必要ですよね。何せ相手はどんどん変異していきますから。
Posted by: 山口 浩 | May 08, 2009 03:22 PM
私の場合、とくに最初のうちはですが、欧州やオセアニアに飛び火していることもあって、
「ひょっとして、モンゴロイドは罹りにくいのか?」
という印象を受けました。(気候のせいかもしれませんが。)
ソ連型亜種とのことですので、「ユーラシアには抗体を持っている人が多いのかも?」とも。
雑感ですみません。
Posted by: 鷹司堂後 | May 11, 2009 06:28 AM
鷹司堂後さん、コメントありがとうございます。
私には感染の広がり方がメキシコとの関わりの深さにだいぶ影響を受けているような印象があります。
いずれにしても、もうしばらくすれば、専門家の方々がどんどん情報を出してくれそうな雰囲気ですね。いいかげんなことを書き飛ばしておいてどうかとも思いますが、そちらを待つべき時期なんだろうと思います。
Posted by: 山口 浩 | May 11, 2009 09:05 AM
インフルエンザ、本当に怖くて怖くて。。
日本は少しおさまりつつありますが、秋あたりから、また次の新型インフルエンザが来る気がします。。。
ほんとに、こわいです。
仕事よりももっと真剣に考えないといけないことではないかなと思っています。
Posted by: 名刺印刷屋 | June 06, 2009 06:33 PM
名刺印刷屋さん、コメントありがとうございます。
こわいですね。ただ、かかったらみんな死ぬ、という類のものではないので、怖がりすぎるのもどうかと思います。
20世紀初頭のスペイン風邪では、世界の人口の50%が感染、25%が発症したそうです。ということは、残りの25%は感染したものの発症しなかったということですね。日本では1918年11月に全国的な流行となり、1921年7月までの3年間で、人口の約半数(2,380万人)が罹患し、 38万8,727人が死亡したそうです。つまり、感染者の98.4%は死亡しなかったということですね。
仕事の場合は、なくなればはるかに高い比率でたいへんな問題になるのではありませんか?重症化するリスクは人によって異なりますのでいちがいにはいえませんが、ほとんどの人にとっては、ふだんより少し健康と感染予防に気をつけることで、じゅうぶん対処できるのではないかと、素人ではありますが考えています。
Posted by: 山口 浩 | June 06, 2009 07:22 PM
人から聞いた話が元で恐縮ですが、米国の
自作自演ならぬ、自作自爆説の可能性を
考えています。
http://dohgo.blog22.fc2.com/blog-entry-57.html
Posted by: 鷹司堂後 | June 07, 2009 07:44 PM
鷹司堂後さん、コメントありがとうございます。
真相はわかりませんが、常識的には考えにくい仮説ですね。否定する根拠を持ち合わせているわけではないのですが、とりあえず「オッカムの剃刀」という線で。
Posted by: 山口 浩 | June 07, 2009 10:13 PM