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May 18, 2009

薬事法パブコメを出してみた

薬事法改正に関するパブリックコメント、正確にいうと、「薬事法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令案」に対するパブリックコメントを出してみた。ややこしいね。要するに、「薬事法施行規則等の一部を改正する省令」(平成21年厚生労働省令第10号)っていうのがすでに出ていて、これをさらに改正しようというわけだ。締め切りが18日なのでぎりぎり。少しでも他に出される方の参考になれば。

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ちなみに、具体的な販売方法については、規定等を参考に自分でこうであろうと考えたもの。実際に細部がどうなるのかは正直なところよくわからないが、期限のある話だし、細部がどうであれ、主張のおおまかな方向性には影響はないと判断したので、そのまま出した。

さらにちなみに、もし今回のパブコメを受けてこの省令が再度改正されることにもしなったら、その名称は「薬事法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令の一部を改正する省令」だし、さらにもう1回改正されたら「薬事法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令の一部を改正する省令の一部を改正する省令」になるんだろう。不謹慎だが面白い。10回ぐらい改正されたらすごいだろうなぁ。

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今般示された「薬事法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令」(平成21年厚生労働省令第10号。以下「改正省令」)は、今回の一連の法令等の改正に対して諸方面から提起され、少なからぬ国民から示された批判や懸念に対して正面から応えることなく、表面のみ取り繕うものであり、一般国民の常識的感覚とはかけ離れているという点でも、きわめて問題が大きいものと考える。

今回の改正は、医薬品が安全に使われるようにすることによって国民生活の安全を守るというお題目の下に行われたものであろうが、これが国民の自由を過剰に制約するものとなっている点に関して、法律専門家を含む多数の反対意見が寄せられていることは周知の通りである。第2類医薬品に関しては、現在でも使用上の注意が書面によって行われ、テレビCM等においてもそれらを読むよう注意喚起がなされている。適切な使用法を守らずに被害を受ける人の人権が大切であることはいうまでもないが、それは適切な使用法を守ってこれらの医薬品を安全に利用している多数の人々の人権との比較によって論じられるべき問題と考える。今回の一連の改正は、通信販売等を利用している、あるいは今後通信販売等を利用することによって便益を受けるべき多くの国民の権利を一方的に奪うものである。こうした重大な問題をはらむ規制を、法律ではなく政令によって、かつ関係者の意見を充分に聞くこともなく行っているという点も重大な問題といえる。改正省令も、こうした問題やそれに対する批判に対してなんら応えていない。

さらに、今回の一連の改正は、お題目として掲げた目的を達成するためのものともなっていないおそれがある。第1類医薬品が、過去に使用例が少なかったり、安全上、特に注意を要する成分を含む等の理由で、対面販売や対面による説明を要するのであれば、それにふさわしい状態が実現されることを改正の目的とすべきであろう。また、第2類医薬品が「副作用によって日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがあ」り、対面販売や対面による説明を要するのである場合も、相応の状態の実現が求められる。

しかし今回の一連の改正においては、第1類医薬品の販売に際して、「適正な使用のために必要な情報を提供」する義務を定めているが、同時に「薬剤師に、自ら又はその管理及び指導の下で登録販売者若しくは一般従事者をして、薬局等において対面で販売等させなければならない」としており、薬剤師が「常駐」「管理・指導」「説明書面交付」さえすれば、実際の販売業務は登録販売者でも一般従事者でもできるように読める。

また、第2類医薬品においては説明自体が努力義務とされているが、その「努力」の内容自体が不明確であり、実際には「よほどのことがない限り説明をしなくてもよい」という言い訳を許すものとなろう。この場合も「薬剤師又は登録販売者に、自ら又はその管理及び指導の下で一般従事者をして、薬局等において対面で販売等」としている以上、実際の販売は一般従事者でよいことになる。

すなわち、本改正で実現される「対面販売」とは、実際には一般従事者との対面販売を義務付けるものに過ぎず、改正が本当に専門知識を持った販売者による対面販売の実現を意図するならば、その目的の達成はきわめて困難であると考えざるをえない。特に、第2類医薬品に関しては、説明が努力義務にとどまること、陳列も説明場所(実際にはレジであろう)から7m以内であればよいとしていることなどからみて、その管理は、実際にはコンビニエンスストアでおでんを買う場合とさして変わらない程度のものとなるのではないか。

また、登録販売者という資格自体も、世間に出回っている通信教育等の内容をみれば、ほんの数十時間のコースでカバーできる程度の知識を問うものでしかなく、これまでに行われた試験でも6~7割が合格していることからみても、専門知識を厳しく問うものとはなっていない。受験資格による制限もあるが、実際には1年間薬局でアルバイトすればよいという程度のもので、多くの薬局が「医薬品も売る日用雑貨品店」に近いという実態をふまえれば、国民が期待する水準の専門知識を持った販売者にふさわしい知識を身につけられるとはとうてい考えられない。本当に第1類及び第2類医薬品がもたらしうる薬害から国民を守るために専門知識を持った販売者による対面販売を義務付けるという趣旨であれば、きわめて不充分なものであろう。

逆にいえばこれらは、今回の一連の改正に際して、検討にあたった専門家の方々が、この程度の対応で充分改正の目的を達すると判断した結果であろう。現在の通信販売等の事業者が行っているしくみと比べれば、これでもまだましということなのであろうが、通信販売等の事業者が充分に検討時間と議論に参加する機会を与えられていれば、これと同水準の安全性を備えた通信販売等の方式を開発し実施することは可能であったと考えられる。

こうした機会を与えずに、いきなり通信販売等の事業者の基盤を奪い去るような規制を持ち出し、同時に既存の医薬品販売業界に対しては規制の趣旨を実質骨抜きにするような配慮を行うという現在のやり方は、国民の安全を確保するという本来の目的よりも、医薬品販売業界の既得権益を守ることを優先しているといわざるを得ない。改正省令は、もともと一連の法令改正等が含んでいたこうした問題をまったく解決していない。改正省令で設けられた経過措置も、期限を持つものである以上、単に懐柔を図るものにすぎない。

また、「第2類医薬品継続使用者」という考え方は、国民を医薬品の使用歴や購入方法によって理不尽に差別するものである。これが許されるならば、通信販売等において第2類医薬品を購入している消費者にも、継続的に利用している旨、及び「情報提供を要しない旨の意思」を確認することによって、最低限2年間その購入を認めるべきであり、また、本来なら、(過去ではなく)今後第2類医薬品の利用が必要となった消費者にも引き続き同様の購入方法を可能とすべきであろう。

上記より、6月1日の改正省令施行は、改正省令において経過期間として考えられている2年間凍結し、その間に、薬害被害者だけでない一般国民や通信販売等の事業者も含めた幅広い議論を再度行ったうえで、方針を決め直すべきものと考える。もし、国民の安全が何にも換えられないきわめて重要な価値であり、そのために専門知識を持った販売者による対面販売が必要であると考えるならば、第1類、第2類医薬品に関して、すべて書面交付とともに薬剤師による口頭説明を行うとともに、対面を通じて、問題が生じないことを確認するよう義務付け、これに関する薬剤師の注意義務および罰則も具体的に法令に盛り込むべきである。しかしもしそこまで求めるのは実際には難しく、国民の安全と利便性を比較考量する必要があるというのであれば、既存薬局での販売の場合だけでなく、通信販売等の事業者での販売に対しても、理想と現実をすり合わせるための調整措置を設けるべきであろう。現在のような、一部事業者のみを向いた姿勢は多数の国民の常識的感覚からかけ離れたものであり、いわゆる「業者行政」の典型例の1つと批判されてもしかたのないものではないかと考える。

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