もうシュワちゃんはいらない、のだろうか?
手短に。2009年6月13日劇場公開の「ターミネーター4」に、これまでのシリーズで「主演」したアーノルド・シュワルツェネッガー・現カリフォルニア州知事がCGで登場する、という話。
シュワルツェネッガーさんは実際に撮影に参加したわけではなく、ターミネーター「T-800」としてCGで出演。「T-800」は、カナダ人のボディービルダーに、シリーズ第1作のシュワルツェネッガーさんの顔をCGで合成、炎から脱出するとメタリックなボディーに変身する。
「ターミネーター4:シュワ知事が“出演” サラ・コナーは声で復活 6月公開」(まんたんウェブ 2009/05/15)
ということは、だ。
シリーズ第1作「ターミネーター」で一躍スターとなったシュワルツェネッガーは、これまで「ターミネーター」シリーズの象徴的存在だった。けっこう特徴的な顔でもあるし、いまや他の顔ではイメージが合わないというレベルだ。今回は知事としての公務多忙により出演せず、とのことだが、まあ当然といえば当然だろう。今後さらに第5作の構想も、との情報があるそうだが、今後も難しいんだろうな。第一もうかなりのお歳だし。
で、今回の「CGによる出演」なわけだが、これはつまり、過去の映像から3Dモデルを作って新作に取り込むことができた、ということだ。これってある意味象徴的なんじゃないか、と思う。こういうのアリなんだ、という意味で。
今回は頭だけのようだし、どの程度の「演技」をしているのか知らないが、もともとあまり複雑な表情をしないターミネーター役だから、いったん3Dモデルができた以上、今後はもう、同意さえあれば、「本人」なしでいくらでも映像を作り出せるようになるのではないか。
技術がもう少し発達すれば、この流れは「デジタル俳優」の可能性を大きく開く方向につながるものとなる。もう亡くなった、あるいは存命でもかつての若かりし姿でスクリーンに登場したい名優たちが、これと同様のかたちで「復活」することも可能になるだろうし、主要キャスト以外は出演料の安い他国の俳優の演技をモーションキャプチャーで取り込んで、容姿を入れ替えるなんてこともありうる。
成熟度は別として、こうした技術はすでに存在してるし(実在の人物を3Dでキャラクター化して動かすなんてのはゲームではさほど珍しくもないだろう)、映画でもモーションキャプチャーなんかは普通に使われたりもしているはずだが、「デジタル俳優」が本格的に利用されるところまではまだいっていない。しかしそれは、技術的問題もさることながら、どちらかといえば作る側、見る側がそうしたやり方に対してどの程度必要性を認めるか、また慣れているか、という問題だったのではないか。今回のようなケースがいくつか続いて、「そういうふうにやっていいんだ」という認識が広がっていくと、それに合わせて技術もどんどん発達して、そう遠くない将来に、当たり前のことになってくるかもしれない。
仮にそうなったとして、それが「いいこと」かどうかはまた別問題。いろいろな考え方があると思うけど。
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Comments
もう10年も前になるかと思いますが、NHKスペシャルで「映画へのデジタル技術への進出」というテーマで、デジタル俳優の問題が取り上げられていたことを思い出しました。
バットマンシリーズで、スタントマン代わりにデジタル俳優が演技をしていて、あまりの良い出来に俳優組合に配慮して一部カット(飛び降りる部分だけ採用して、飛び降りたあと道を平然と歩み行く部分はカット)したとか。
たしか、このバットマンの映画にも、シュアルツネッガーが出演していたような。
Posted by: yasiyasi | June 12, 2009 11:21 AM