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10万円借りて30日後に返したら

電車に乗ったら、車内にアコムの広告が出ていたのだが、これがちょっと面白かった。タモリが出てるやつ。写真を撮り損ねた(今は公式サイトのトップにも似た内容のものが出ているからご参照)のだがこんな文章。

例えば、10万円借りて30日後に返したら、利息は1500円で足ります。
アコムはこれ以上いただきません。

おお安い。じゃあ借りようか、なんて人が出てくるのだろうかこれで。

まあ確かに1500円とかいうと一見たいした金額じゃないようだけど、実際のところこれって年利でいえば18%に相当するわけで、利息制限法の上限いっぱい(元本が10万円だからね)。要するにいわゆるグレーゾーン金利部分はいらないよってだけのこと。まあそりゃそうだろう「これ以上いただ」いちゃったらかえって面倒なことになるだろうし。広告の下にも小さい字でだが「実質金利18.04%で30日間だと利息1,479円」みたいなことがちゃんと書いてある。でもさ、単純計算でいえば(詳しい条件とか知らないので)2カ月だとその倍、半年だと6倍、1年だと12倍なんだよなあやっぱり。

さらにこれ、当然ながら、元本は入ってない。この点が決定的に重要だと思う理由はずっと前に書いたので、ここではちょっとだけ引用しておく。

問題になっているのは、「金利を返済できなくなった者」ではなく、「元本と金利の合計を返済できなくなるまで借りてしまった者」だ。もちろん全員とはいわないが、問題になるような借り方をする人は、金利が下がれば、けっこう高い確率で、よけいに借りる方向へ動くだろう。

当たり前すぎる話だが、「10万円借りて30日後に返したら」、払う金額は1,479円じゃなくて101,479円なわけだ。30日後に元本を返さなかったら?当然ながら、金利は1,479円ではすまない。ではなぜそうはっきり書かないか、などと考えるまでもない。もちろん金利の「お手頃」さを強調したいから、というのが公式見解だろうが、それだけじゃない。はっきり書くことで借りようという人の気持ちに水を差してしまいたくないからだ。

つまり上記の広告は、元本の存在から目をそらすような表現をすることで利用者なり利用額なりを増やそうとしているわけだ。もちろんうそをついてはいないし、そういうのは広告の常道ではあるんだが、事柄の性質上あんまり好ましくないと思う。なにせこの問題における被害者、あるいは潜在的な被害者は、「利子とともに元本も返す」という当然の理屈が通る相手とは限らないのだ。

たばこのパッケージに書かれた健康への影響に関する警告表示は、過去数回変更され、次第にはっきりした警告になってきている(海外ではもっと露骨らしい、というあたりはWikipediaにも出ている)。こういう対応をしてもいいのではないか。典型的にイメージされる「ご利用は計画的に」は、たばこでいえば「健康のため吸いすぎには注意しましょう」レベルだろう。もう少し引き上げてもよさそう。

どんな警告メッセージがいいかな?たとえば、そうだな、「100人の村」的に、「当社からお金を借りたお客様10000人のうち○人は延滞します。○人は多重債務者となり、○人は自己破産します。ご利用は計画的に」ぐらい書いたらどうか。あ、こっちのほうが近いかな。
創作童話 博士(はくし)が100にんいるむら

あ、これは日本のたばこ警告表示よりきついか。じゃあ、「ご利用は計画的に」を吹き出しに入れて、こわもてのおじさんがにらみつけてるみたいな写真(↓こんな感じの)を添えたらどうかな・・

これもだめ?じゃあ、弁護士バッジをつけたおじさんが満面の笑みを浮かべて(ついでに揉み手とかしててもいいぞ)「ご返済の相談に乗ります」と言ってる図、なんてのはどう?

・・明らかに脱線してるのでこのへんで撤収。要は、消費者金融というサービスの意義や必要性は認めるが、少なくとも一部の人に対してははっきりと悪影響があるのは明らかなわけだし、広告についてもたばこ並み、ないしそれに近い扱いをしてもいいのではないかな、ということ。以上。

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Comments

お金を借りるときに金利を気にする人は賢い人である。
そもそも賢い人は消費者金融でお金を借りない。
よって、金利は消費者金融の貸出残高に影響を与えない。
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タバコ並みの警告メッセージを載せるのは、本当に実施すべきだと思いました。
加えて、競馬、競輪、競艇、パチンコ、ソープ、キャバクラ、結婚式場、住宅ローンなどにも「あなたの人生を台無しにする可能性」がある旨、警告すべきかも。
(つーか、お札そのものに印刷しておくべきかも。)

Posted by: 774 | August 08, 2009 at 11:51 PM

774さん、コメントありがとうございます。

>そもそも賢い人は消費者金融でお金を借りない。

消費者金融における金利設定が非合理的であるという意味でしたら、それはいかがなものかと思います。
一般的な意識からはかなり高い水準でしょうし、少なくともかつてこの業種がかなり高収益だったことも事実でしょうが、信用リスクとの見合いで必ずしも不合理とまではいえないでしょう。実際、この業界の参入障壁はそれほど高くないはずで、競争もありますから、それなりに市場メカニズムは働いています。
また、消費者金融における延滞率については詳しく知りませんが、多くの場合せいぜい数%~10%前後ではないかと想像します。少なくとも、消費者金融でお金を借りた人の大半はきちんと返しているわけですから、こうした人たちを総称して「賢くない」とか「メンヘル」(はてなブックマークのコメントでそういうのがありましたが)と評するのは不当だと思います。賢く借りて、きちんと返している人が大半ですが、中にはそうでない人もいる、ということでしょう。それは消費者金融に限らないはずです。

以上をふまえて、警告メッセージをもっと明確に出すべき、というのが本文の趣旨です。深刻な被害を受けるかもしれない一部の人のために、社会の注意をひきつけるために。それはこの業種自体が悪だということにはなりません。それはたばこと同じだと思います。

Posted by: 山口 浩 | August 09, 2009 at 11:53 AM

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