人はパンだけで生きるものではないが、パンツだけで生きることはできるらしい、という話
文章は書き手の意図を汲みながら読むものだ。そんなことはわかっているのだが、どうしてもちがう解釈をしたくなってしまうときがある。この件もそうで、つい朝の新聞折込広告を見ていてぶほっとなってしまったので、ちょっと、ひそかに目標にしている「小鳥ピヨピヨ」ふうのノリで。
出発点はこれ。
イエスはお答えになった。
「『人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる』/と書いてある。」
(マタイによる福音書 / 4章 4節)
新約聖書の有名な一節。イエスが40日間の断食のあと、悪魔の誘惑を受けるくだり。「神の子なら、これらの石がパンになるように命じたらどうだ。」という悪魔のことばに対するイエスの答えがこれだ。ふむ。信仰心はないし深い宗教的意義も知らないが、物質的な豊かさのみが重要なのではない、と考えれば、今の時代にも示唆に富むものとなろう。
しかし、このありがたい「神様」のみことばを真っ向から否定する人々がいるのだ。
そんな不届きな人々とはいったい誰だ、というと。
アラフォー。
アラフォー、つまり40歳前後の皆さんだ。今回の場合は女性。
「証拠」はこれ。おしゃれなアラフォー女性のバイブル、月刊「Marisol」2009年10月号。折込広告には「おしゃれが加速。美貌はキープ。仕事は旬。今、人生最強!」とある。なるほど神をも恐れぬ自信はここからくるのか。
で、表紙をみる。
該当部分を青線で囲ってみる。
ふむふむ。
秋は「パンツ」があれば生きてゆける
な、なんと。
パンはなくともパンツ。おしゃれなアラフォー女性の皆さんは、パンがなくとも、神のことばがなくとも、パンツがあれば生きていけるのだ。なんともおそろ、いやすばらしいではないか。世界の食糧危機もこれで解決だ。WFPの皆さんは飢餓に苦しむ地域に大量のパンツを送っていただくがよろしかろう。私もぜひその秘訣を学びたい。この号の特集は「世界に比類なきおしゃれがここに! TOKYOアラフォースタイル徹底研究」。「世界のどの都市にもない10項目の「TOKYOスタイル」を認定した」のだそうだ。何かというと:
1.デニムはかせりゃ世界一
2.ジャケットを着くずせる
3.黒が抜群にうまい
4.プリントはBIG&CLEAR
5.隠し味はスイート主義
6.靴はめっちゃいい
7.どこか揺れてる
8.光りものは必須
9.ドレスアップを知っている
10.チャレンジは1ヵ所、を心得ている
あれ?「パンツ」だけで生きていけるんじゃないの?これじゃジャケットも靴も光りものもいることになっちゃうよ?あ、そうか「秋」だな。秋だけはパンツがあれば生きていけるけど、これからくる冬に備えてジャケットも靴も光りも必要なんだろうな。ともあれ、この中に出てくる「パンツ」類はデニム、というわけで、世界の飢餓と戦うためにはデニム、と勝手に認定しておこう。あ、でも、冬までにはジャケットも靴も光りものも送っておいてほしい。これを発見した集英社の皆さんにはノーベル平和賞が贈られるのではないかな。
※追記
前にこういう件で一部の人たちが盛り上がっていたわけだが(画像はこちら)、今回の「パンツがあれば生きてゆける」は、山口的には「ガイアが俺に」に匹敵する大ヒット。この種の雑誌の編集者の皆さんの独特の言語感覚にはいつも敬服させられる。まだまだ掘ればいろいろ宝が眠ってるね、これは。今後も期待。
※追記その2
どこぞでこの本とかこの本
とかの画像も貼れという声があるらしいんだが、いろいろ差し障りがあるんで、きっぱりとお断りする。
※追記その3
念のためおことわりしておくが、私はどちらかといえばパン派だ。
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Comments
何だこれwww
Posted by: パンツ | September 13, 2009 11:31 PM
パンツさん、コメントありがとうございます。
この1つ前にコメントをいただいたウサンクサッさんと同じIPアドレスですが、何かハンドル名を変える必要があったのでしょうか。
Posted by: 山口 浩 | September 14, 2009 09:51 AM