最高裁裁判官の国民審査がリコール並みだったらいいのに
衆議院総選挙と同日に行われた最高裁裁判官の国民審査だが、いつも通り、対象となった9人全員が信任された。有効票に対して罷免を求める票の率(罷免率)は6.00~7.73%だったそうだ(参考)。ほぼ前回並みとか。
上記リンク先記事によると。
衆院選の「1票の格差」を巡る07年の最高裁判決にかかわったのは9人のうち3人。この中で合憲とする多数意見を出した涌井紀夫裁判官が罷免率トップに、同じく合憲とした那須弘平裁判官が2位。
氏名(出身) 罷免要求票数(率%)
桜井龍子(行政官) 4656462(6.96)
竹内行夫(行政官) 4495571(6.72)
涌井紀夫(裁判官) 5176090(7.73)
田原睦夫(弁護士) 4364116(6.52)
金築誠志(裁判官) 4311693(6.44)
那須弘平(弁護士) 4988562(7.45)
竹崎博允(裁判官) 4184902(6.25)
近藤崇晴(裁判官) 4103537(6.13)
宮川光治(弁護士) 4014158(6.00)
ふむ。
この件に関しては今回いろいろな団体や個人がいろいろな活動をやってた。多少なりと効果はあったのはわかるが、結果は約1%の差ぐらいにしかならなかったようだ。つまり、100人に1人ぐらいの比率でしか届かなかった、あるいは共感を得られなかったわけだ。原因はいろいろあろうが、関心が高まらない1つには、投票者の過半数が×印をつけ罷免を可とした裁判官が罷免されるというのがあまりに高すぎるハードル、ということがあるのではないか。
ここはやはり最低限、いわゆるリコールと同程度にしてもらいたいね。
地方自治法では、「総数の3分の1(その総数が40万を超える場合にあつては、その超える数に6分の1を乗じて得た数と40万に3分の1を乗じて得た数とを合算して得た数)」となっているそうで、全国規模ならほぼ1/6だから総数の約17%、今回の投票率を使って計算すれば投票総数の約25%ぐらいだ。リコールみたいにわざわざそのための国民投票を改めて実施するのはたいへんだから、これで罷免できる、とすれば、だいたい投票総数の1/4くらいが×をつければ罷免できることとなる。このくらいなら実現可能なレベルだから有権者も真剣に選ぼうという意欲が高まるし、かつ裁判官の地位を不当に不安定にするほどでもなかろう。
憲法改正というとすぐ9条のことしか考えない9条原理主義者の皆さんがいきり立ちそうだが、こういう論点もありうると思うんだな。だめかなあ。
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Comments
最高裁裁判官って結構重要なポストなので、緊張感を持って職務に励んでもらいたいということと、国民の意思をもう少し反映しやすくしてほしいという2つの意味から罷免のハードルを低くしてほしいと私は思うのですが...
Posted by: のひ | September 08, 2009 01:50 AM
のひさん、コメントありがとうございます。
「結構」どころではなくたいへん重要です。下級審と比べて、最高裁の場合は法律の知識だけではなく「価値観」が問われる、というあたりがポイントでしょう。もちろん身分の安定が重要であることはいうまでもありませんが、一方で国民が積極的に罷免しようというインセンティブを持ちにくい対象でもありますので、少しハードルを下げたほうがいいのではないかという点は、ご指摘の通りです。
Posted by: 山口 浩 | September 08, 2009 03:49 AM
国民投票はいつも白紙でしたが反省しました。これからは事前にしっかり調べて臨もうと思います。
最近1審裁判に関わることがありましたが、かなりいい加減に事が進んでいる現実を目の当たりにして愕然としました。
証拠の信憑性が怪しいにも関わらず、こじつけのような推論で結論を出してます。このような裁判官は罷免したほうがよいと思いました。
裁判が多くなったからといって、裁判官も弁護士も数を増やせばよいというものではありません。
これ以上冤罪を増やさないために、質を問わなくては意味がないと本当に思います。
Posted by: kko | September 11, 2011 02:45 PM