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November 04, 2009

総持寺がいろいろとがんばってるらしい件

私の職場は「仏教の教義並びに曹洞宗立宗の精神に則り学校教育を行うこと」を建学の理念としていて、私自身は別に頭を剃っているわけでも毎日座禅を組んでいるわけでもないが、世間一般の方々より仏教を身近に感じることのできる環境にいることはまちがいないと思う。とはいえ、実際に深く接しているわけでもないので、よく知らないことのほうが多い。そんな「素人」の目からみて、仏教界の人たちというのはどうも新しいことにあまり積極的とはいえない印象があった。伝統を重んずること自体を否定はしないが、一方で今の社会や今生きる人たちとともにあるべき存在でもあるわけで、その意味では「もっといろいろやってみたらいいのに」と思ったりしていた。しかしこれは少々不勉強だったことを認めざるをえない。けっこうがんばってる人たちがいたのを知ってびっくりしたので取り上げてみる。

べ、別に、ポジショントークとか、よいしょとかじゃ、ないんだからねっ

もちろん私だって「虚空山彼岸寺」なんかは見たことがあるから、神谷町の光明寺でやってる「神谷町オープンテラス」やら「誰そ彼」やらの話とか、「IBA(超宗派仏教青年会)」がやってる「暗闇ごはん」の話とかくらいは知ってたさ。でも駒大の周辺ではあまり聞かないな、と思ってたわけだ。

仏教についてよく「葬式仏教」ということばを聞く。葬式やその関連イベントのときにしか接点がない、というぐらいの意味合いかと思う。あとは初詣とお祭りと修学旅行くらいか(あ、最近は「仏女」みたいな人もいるな。元「仏少年」としては「なんで女性だけ取り上げるんだ」とか思うが)。ともあれ毎週教会やらなにやらに出かける、といったふうに接している人は少数派といっていいだろう。特に、宗教本来の役割である精神面での安らぎみたいな部分でいうなら、死者に関する部分だけではなく、今生きている人たち、特に高齢者以外の人たちの日常の悩みやら苦しみやらのためにもっといろいろできないのか、という感想は、キリスト教やらイスラム教やらの人たちの動きを見ていればそれほどおかしなものでもないと思う。

今の人たちにリーチしようと思えば、その1つの方法は今の人たちの生活スタイルに合わせた活動を行うことだ。たとえばウェブでの情報発信はその典型的なものの1つだろう。曹洞宗の場合、「曹洞宗・曹洞禅ネット」なるウェブサイトを持っていて、それなりにちゃんと稼動してるようなんだが、新たな取り組みに熱心、というまでの印象は持っていなかった。なんせ本山である永平寺には公式ウェブサイトがない、というくらいで。しかしそこが甘かった。曹洞宗のもう1つの本山、総持寺を見落としていたのだ。こちらはけっこういろいろ面白いことをやってる。もちろん永平寺を悪くいうつもりはない。伝統を守ることは新しいことを始めるのと同じくらい大切なことだし、それぞれがそれぞれの状況に応じてよいと思うことをやってるのだろうし。

ともあれ、総持寺。こちらはネット配信をやってた。公式ウェブサイトにあるこの「ニコニコ法話」(なんか別の何かを連想させるがあちらとは無関係。たぶん)は、法話のネット配信。月に1回、傘下の寺の僧侶の方が交代で法話を公開している。動画配信も、一般の動画共有サイトを使うのではなく、自前で配信しているようだ。それら1つ1つは他でも例があるから(ネット配信についてはむしろ西本願寺なんかのほうが進んでいるかもしれない)必ずしも最先端ということではないだろうし、そもそも若い層が新しいものを好むとは限らないよ、ということもあるのだが、今の人たちに届けようという姿勢は好ましい。私たちがニコニコ動画でやってる「駒大GMSちゃんねる」でも法話みたいな仏教関連コンテンツとかできないかなと考えていたりもしたので、そういうもろもろの意味で要注目。

しかし、それだけでびっくりしてはいけない。知ってる人は知ってるのだろうが、私は知らず学生から教えてもらった動画で知ったのがこれ。毎年7月あたりにやってる「み霊祭り納涼盆踊り大会」の模様らしい。このはっちゃけっぷり、なんかすごい。

何がすごいって、この、ノリノリで歌い踊る面々が僧侶の方々らしいのだ。学生は「微妙」な印象を受けたようで、まあわからなくもないが、私としてはむしろ積極性を買いたい。

「一休さん」は臨済宗ではないかとかいうつっこみをする人もいるかもしれないが、まあ禅宗つながりではある。盆踊りも、ルーツは時宗や浄土宗などで行っていた「踊り念仏」にあるらしいからこれまた宗派ちがいだが、まあそのへんはかたいこといわず、ということで。

踊り念仏の正確な教義上の位置づけは知らないが、要するに広い意味での布教のために音楽や踊りを利用したということではあるだろう。したがって、これまた想像だが、当時の踊り念仏は、その時代の人々にとって身近な旋律やリズムを使っていたのではないか。その意味では、このアニソンやラップも現代ふうというだけで、その本質は変わらないといえるのではないか。パフォーマンスとして「上手い」かどうかは判断しかねるが、集まった人たちにはそれなりに受け入れられているようだし。

宗教違いでは、こういう例もある。こちらの方はCDも出してるくらいでエンタテインメントとしても一流なのだろうが、宗教的な動機に基づくものであろうし、これでリーチできる人々がいるなら、ひとつのやり方ではあるはずだ。

その意味で今後、パフォーマーとして一流の人が出てきたらいいのではないか、と思ったりもする。瀬戸内寂聴さんは天台宗だからこれまた宗派ちがいだが、それこそ歌手やラッパー、ダンサーなどとして売れる人が出てきたりしたら面白い。そうした歌手等の人生哲学やらなにやらは皆喜んで聞くではないか。僧職の方がみなそうすべきとは思わないし難しいだろうが、そういう人がいてもいいとは思う。

そういえばいまや懐かしいこの動画にも「坊主ダンサーズ」が登場していたな。もちろんこれはネタ。ネタで終わっては元も子もないだろうが、あくまでとっかかりとしては意味があるのではないか、ということで。


永平寺のほうもお忘れなく、ということでいくつか。特にこの精進料理の本は愛読書。いやほんとにおいしそうなんだってば。

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Comments

昨年の秋葉原での事件について、Timesだったかのニュースについたコメントで「彼に必要なのは神だったんだ」っていうのがあって、とても納得しました。

宗教って「魂の救済」をお題目に掲げてる(はず)なのに、そういうのに目をつぶってるってことは自分の存在意義を否定してるのか、と。

Posted by: まお | November 07, 2009 12:53 PM

まおさん、コメントありがとうございます。
そのコメントの趣旨はわかりますが、「神」にもいろいろありますし、神を信じていれば必ず防げたか、というとそれもどうかなと思います。折しもテキサス州の米軍基地での銃乱射事件があったばかりですが、こちらの「彼」には「神」がいたはずですからね。本来イスラム教は平和を重んずる宗教ですが、一方でそうともいいきれない考えを持つ人がいるのも事実です。
そういう「極端」な方法でない限り、宗教の人たちがもっと現実の問題に向き合うべき、というのはご指摘のとおりかと思います。

Posted by: 山口 浩 | November 07, 2009 02:39 PM

はじめまして。
浄土真宗本願寺派の僧侶の資格を持つシンガーソングライターで二階堂和美さんという方がいらっしゃいます。テレビに出るまでにはいきませんが、それなりに知名度あります。めちゃくちゃうまいですよ。
ただ実際に僧侶としては活動されていないようで、その辺のアピールはされていません。自分も最初は単なるシンガーソングライターとしてしか知りませんでした。

Posted by: denden | November 15, 2009 12:58 PM

dendenさん、コメントありがとうございます。
二階堂和美さん、不勉強で存じませんでした。浄土真宗の方々はけっこう積極的にやってらっしゃるようですね。「葬式仏教」といういいかたはかなり失礼なものではありますが、一面の真実をついている部分があることは否定できないでしょう。ぜひがんばっていただきたいものです。

Posted by: 山口 浩 | November 16, 2009 11:19 AM

道元禅師さまもびっくりですなぁ。

でも、お寺というのは修行の場でもあり、庶民の集う結構身近な場所でもあったのではないのですか?
そういう意味では、昔からあった布教活動だったかも・・
「はんにゃーはらみぃたぁー Yohoo!!!」

Posted by: tomo | November 16, 2009 09:19 PM

tomoさん、コメントありがとうございます。
ご指摘の通りです。古来神社仏閣は宗教施設であると同時に、庶民の交流の場であり、交易の場であり、娯楽の場でありました。それはもちろん歴史的背景のあることですが、偶然そうなったというよりは、当時の宗教者たちが選んでそうしていたことと考えたほうがよいと思います。現代の方々にもぜひいっそうの奮起をお願いしたいところです。それは「歴史的」にも由緒正しいあり方の少なくとも1つであるように、私には思えます。

Posted by: 山口 浩 | November 18, 2009 01:53 PM

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