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January 04, 2010

内なる「カツマー」と「カヤマー」について

よくものごとを二分法で語ることがある。人についてだと、「世の中には二種類の人間がいる」みたいなやつ。今だとさしずめ「カツマー」と「カヤマー」か。この2人の「論争」については本屋の店先と新聞広告くらいでしか見たことがなかったのだが、「直接対決」があったらしい(参考)。対談、つうか対決本も近々発売されるらしい。こんな本↓。どんな内容か知らないが、まあ想像のつく範囲なんだろうと思う。

別に「頂上決戦」に口をはさむつもりは毛頭なくて。ただまあなんだ。改めて書くまでもないことなんだろうとは思うんだが、ちょっと穴掘って書いときたくなっただけのことで。手短に。

上記リンク元記事は、「対立によって互いの著書の売り上げや人気を伸ばしており、このバトルは経済評論家と精神科医による"プロレス"と見る向きもある」とけっこう手厳しい。そうした要素があることは否定できないだろう(出版はまちがいなくそうだろうし、そもそもそのリンク元記事だって便乗してるわけだし)が、そこまでいうこともなかろう。実際この2つの考え方の間での葛藤は、女性に限らず、老若男女さまざまな人にとって決して他人事ではないはずだ。

努力して望むものを勝ち取る。賢いやり方を知ってうまくこなす。いいたいことをはっきりいう。どんどん前に進む。こういった考え方は魅力的だ。夢が広がる。やる気がわいてくる。しかし一方で、当然ながらうまくいかないことはある。自分にはそんな能力はない。いつもがんばるなんでできない。わざわざつらい道を歩くことなんてない。このままここでふつうにしていたい。していたっていいじゃないか。そういう考えも同様に魅力的だ。心が楽になる。自分を肯定的にとらえられる。

要するに、「カツマー」な人と「カヤマー」な人というタイプ分けがあるというより、それぞれの人の中に「カツマー」がいて「カヤマー」がいるわけだ。どちらが強く出るかはその人によってちがうだろうし、そのときによってもちがうだろう。使い分ければいいだけだ。スポーツ選手が体を鍛え技を磨くのは当然だろうが疲れたら休むのも当然。会社員が職務に専念して働くのは当然だが休憩時間には休むのも当然。それらのバランスをどうとるかが人によってそれぞれちがうのも当然。そのとき自分がいいと思うほうを参考にすればいい。もちろん「どちらも参考にならん」と思うならそれもよし。そもそも絶対の「正解」などないのだ。その意味で、外野がやれ「カツマーとカヤマー、どちらがいい?」みたいに議論するのは不毛だ。

もちろん「ご当人」のお2人だって、理念形のような完全無欠の「がんばる人」「がんばらない人」であるはずがない。そんなことは百も承知で「対決」しているのだと思う。もちろん「信者」の数が収入にも直結するだろうから、お2人が熱く議論すること自体を否定するものではない。

社会には「カツマー」と「カヤマー」の双方がいるのが自然であるだけでなく、おそらくその双方が必要なのではないか。社会はさまざまな人がいてはじめてうまく機能する。成功をめざしてがんばる人が一定数ないし一定割合いることは社会が発展していくためには不可欠だが、そういう人ばかりでは居心地が悪いだろう。逆に、高望みをせず身の丈に合った暮らしをよしとする人の存在は社会に安定感やうるおいを与えるかもしれないが、そういう人ばかりでも困る。それぞれどのくらいの割合がいいのかとかはわからないが、とにかくどちらもいたほうがいい。

興味深いことに、どちらの立場の人も、「相手方」の「勢力」が「拡大」していると感じているふしがある。具体的にどれがどうといわれると困るのだが、どうも自分たちが時代の風潮に対してアゲンストと感じていて、だから今言わなきゃ、みたいな雰囲気。これも「マーケティング」の一部ととるのは悪意にすぎるだろう。実際にそう見えているのではないかな。

むしろここでいえるのは、両者がバトルしていられる日本はよい、という点ではないか。意見の多様さは社会が少なくともある程度健全である証拠。どちらの考え方をとるか(あるいはとらないか)迷えるのも、自分には能力がないと悩めるのも、選択肢があるからに他ならない。もしそれが自然だと思うなら、広く世界を見渡してみるといい。もちろん国内にも、「自分は悩める立場にない」と考える人もいるはず。そういう人たちへの対策は必要だが、少なくとも悩める立場にある人がそれを恥じる必要はない。

別に「今日も平和なニッポンであった」とかちゃかすつもりはない。むしろ悩むこと、迷うこと自体に意味があると思う。相田みつをじゃないけど、「人間だもの」ってね。自分の中で「カツマー」と「カヤマー」が日々大きくなったり小さくなったり。そんな内なる「カツマー」と「カヤマー」が心置きなくバトルできるように、「教祖」のお2人には今しばらく「頂上決戦」を続けていただくのがよろしかろうと思ったりもする。

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Comments

なんか、交感神経(カツマー)と副交感神経(カヤマー)みたいな関係性ですね。

Posted by: kai | January 05, 2010 01:08 PM

kaiさん、コメントありがとうございます。
こういう関係はよくありますね。スポーツ選手にも、政党にも。

Posted by: 山口 浩 | January 05, 2010 07:42 PM

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