ネット献金とネット募金とネットビジネスと
少し前に、楽天カードを入手した。目的は例のネット献金を試してみるため。他にも手段はあるのかもしれないが、まあ楽天で買い物することもあるだろうしいいかな、というわけだ。で、先日、試しにやってみた。与党の人と野党の人を1人ずつ選んで、最低限度の1000円ずつ。世の中で話題に出る企業献金やら裏献金やらの金額には桁がいくつも足りないが、企業・団体献金ってどうよと思ってる自分としては、自分で献金しないというのは気分が悪いし。
献金はこのページから。献金先議員がリストになってる。現時点で全157人。献金先を選んで、いくら献金するかと名前なんかを記入して、あとはぽちっとな、と。献金のたびにいちいち名前とか書かないといけなかったりして一般のネット通販よりめんどくさいが、従来を考えれば利便性が大幅に向上したのはまちがいない。あと、献金時にメッセージを添えられるのも面白い。こういうのが集まると政治家の側もテンション上がるんだろうか。
やってみて思い出したのは、ああネット募金と似てるな、ということ。ネット募金って一般的にはあまり普及してないという話があるようだが(参考)、決済のプラットフォームができていて、ある程度信用できるところが対応してくれれば、利用者側にとっての障壁は著しく減少する。実際、何度かやってみれば、手間もかからないし、都合のいいときにできるしというわけで、ネット募金のおかげで募金に対する敷居は大きく下がった。政治献金もそういう方向にいったらいいと思う。
ネット募金では、壁紙を販売したり、ポイントを寄付に回したりといったかたちで行われるものがけっこうある。たとえば今、ハイチの大地震に関する募金があちこちで行われているが、ヤフーやニフティでは前者、so-netやはてなでは後者といった具合。ネット献金も、こういうやり方があるのかもしれない。政治資金パーティとかやるのと少し似てる。そういえば、片山さつき元議員のブログで、「片山さつきサポーターカード」なんてものを販売していたのを見かけたことがある。これも1枚1000円だそうだが、これができるなら壁紙ダウンロードで献金というのもありうるだろう。いくら元ミス東大でも、政治家の顔写真を壁紙にしたいとはさすがに思わないが。
コンテンツなら、むしろ動画という手もある。ニコニコ動画等の動画サイトに独自のチャンネルを持ってる政党はけっこうあるが、広報のためかほとんど無料のはず。あの中に課金会員制度を作るという発想はないだろうか。「お宝動画」なんてものがそのジャンルであるかどうかは知らないが、そもそもそういったものが目当てで会員になる人も少なかろう。もちろん独自サーバで運営できるならそのほうがいいだろうけど、手間だし、大手のサービスが安価で利用できるならそれもありなのではないか。
ネットビジネスが「1円の壁」を超えられずに苦労しているのに献金なんかするわけない、という考え方もあろう。実際そうだろうと思う。ただ、ネットビジネスが「苦労」というのはお金がどんどん流れていくリアルのビジネスと比較するから「苦労」なわけだ。一方、献金のほうは(少なくとも個人からは)リアルではなかなか集まらないという現状との比較になるから、裾野を広げるとか敷居を下げるとか、それなりに意味はあるんじゃないかな、と思ったりする。ネットビジネスの方々も、こういうところでの社会貢献の実績を積んでおくと、いざというときにいろいろ助けてくれる人が出てくるかもしれない。
要するに、これまで別の世界にあって別の論理で語られていたものが、ネットの中でその距離を縮めている、という話だ。いろいろ工夫の余地はあろう。うまくいかないものもたくさんあるだろうが、いろいろやってみたらいいんじゃないかな、とあえて能天気に書いておく。
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