衆院選予測週刊現代20100508
週刊現代2010年5月8・15日に「ぶち抜き大特集 自爆する民主政権 鳩山「5月退陣」全内幕」という記事が出ていたのでメモ。「衆院選」予測であって今年7月に行われる「参院選」ではない。この手の記事にはよく選挙予測の専門家の名が出てくるが、この記事に関して特定の名は挙がっていないので同誌編集部による予測かと。
いろいろ書いてある理屈はめんどくさいので本誌をお読みいただくとして、要するに同誌編集部の見解は
「5月末、鳩山首相が政権を投げ捨てた場合、「後継の首相」はその正統性を確保するために、解散・総選挙で国民の信を問うしかないのだ。」
ということらしい。つまり、衆参ダブル選挙だ。「民主党は、政権のたらい回しを否定してきた以上、菅直人副総理らへの「禅譲」はあり得ない」という同誌の見解にどの程度説得力があるのかわからないが(今まで野党時代と見解を変えたことはたくさんあったし)、同誌的にはそういうことになってるらしい。で、
「おそらく7月の参院選とのダブル選挙になるであろう、この決戦を見越し、総選挙のシミュレーションをあらためて行った」
のだそうだ。具体的には、こんなやり方。
「今回本誌は、民主党政権の支持率低下に伴い、民主党が‘09年衆院選で獲得した票数を30%減らした場合、または40%減らした場合、その議席数にどのような変化があるのかシミュレーションを行った。自民党については、最低レベルに沈んだ前回の数字を、そのまま流用している。」
で、結果はこう。
民主党が30%票を減らしたときの民主・自民の議席数
民主:170(現有307)
自民:238(現有116)
小選挙区での獲得議席は、前回の221議席から102議席と半分以下に減る。一方、62議席に沈んでいた自民党は176議席と大幅に議席数を回復する。
さらに同じ試算を比例区の得票数でも行い、ドント方式で配分したところ、民主党は68議席、自民党は62議席を獲得。合計すると民主党は前回の308議席が170議席にまで減少し、自民党は238議席と、過半数の一歩手前まで復活することが可能になるのだ。
であると。で、40%減った場合はこうなると。
民主党が40%票を減らしたときの民主・自民の議席数
民主:115(現有307)
自民:288(現有116)
客観的にみても「思い切った」予測のように思われるが、選挙予測の専門家の方が参加してないあたりと関係しているのかもしれない。是非はともかく、かなり「思い入れ」の入った記事のように見える。その「思い入れ」は、記事の後半に出てくる。ここで政治評論家の浅川博忠氏のコメントを引くかたちになってるのは、この記事全体がこの方の見解を受けているのか(ならばこの人自身の予測と書いてないのは不思議)、コメントを「活用」したのか。
「民主党が単独どころか連立でも過半数割れを起こした場合、小沢氏は公明党、与謝野馨、平沼赳夫両氏が率いる『たちあがれ日本』、あるいはみんなの党までも含めて、新たな連立政権を作るでしょう。そして思い切って社民党や党内の左派勢力・反小沢派を切り捨てて、『新民主党』をつくるのではないか」
で、記事のしめくくりはこう。
「まもなく、日本は再び変わる。今度こそ良い方向に変わるよう、国民の冷静な判断が必要になる。」
この種の予測記事の中には、いわゆる「引き締め効果」やら判官びいき現象やらを狙ったかのようなものもあるが、これはどうもそうではなくて本当にこっち方向を期待しているように見える。規範的予測の亜種、みたいに考えればいいのだろうか。個人的には、こういうのは予測のかたちをとるより、はっきりとした主張として書いてほしいのだが。
The comments to this entry are closed.
Comments