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April 01, 2010

EFF、中国インターネット規制に抗議のため新ドメイン提供(2010.4.1)

まもなく正式発表があるだろうが、一足早く入手したさる筋からの情報。EFFでは、中国で一層強化されつつある、インターネットにおける検閲や規制に抗議の意思をあらわすため、新たにトップレベルドメイン「.tiananmenmassacre1989」(「天安門事件1989」を意味する)を希望する世界中のすべてのユーザーに無償で提供する方針のようだ。(2010年4月1日付)

中国では、当局にとって都合の悪い情報がネット上で見られないようブロックするシステムが導入されているが、その運用のため、ネット検索サービス提供会社はこのシステムへの協力を義務付けられている(関連記事)。先日中国市場からの撤退を発表したGoogleも、サイバー攻撃とともにこの検閲への協力を撤退の理由として挙げていた。つまり世界でふつうに見られている情報が中国国内からは見えなくさせられているわけで、これはインターネットの精神に反する。ネットにおける自由な言論の価値を主張してきたEFFとしてもこれは看過できないということらしい。

このドメインを使ったウェブサイトは、URL自体にいわば「禁止ワード」が含まれており、中国のネット検閲システムで排除される可能性が高い。つまり、中国国内での検閲への対抗策として中国の外側から逆に、中国のインターネットを世界から孤立させてしまい、検閲の異常さを訴えようというわけだ。すでに運用中のサイトのドメイン変更はそれなりにめんどうであることから、EFFでは併せて、すべてのウェブページのメタ情報に「<tiananmen massacre 1989>~</a>」(実際には「<」「>」を半角に)とのタグを加える対抗策も推奨するつもりのようだ。このタグを加えると、天安門事件を伝える報道写真が当該ウェブページにウォーターマークとして表示されるらしい。

従来「.com」や「.org」など21種類に限定されていたgTLD(トップレベルドメインのうち、全世界の人々がサブドメイン名を取得できるもの)は、今年から自由化され、分野別トップレベルドメイン(新gTLD)が認められることとなっており、今回の方針もそれを利用したものらしい。新gTLDの申請受付は今年前半に開始され、ICANNの審査を経て決定される。審査にあたって中国側が異議を唱えることは必至だが(地名を含む新gTLDの承認には関連国による「支持する」または「反対しない」旨の署名入り文書が必要)、現ICANN理事会は本件に関し容認ムードが強く、認められる見通しは高いとみられている。

本件に関する詳細はEFF(Electronic Fallacy Foundation)に直接照会されたい。

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