こうすると「恋人」ができるらしい
たまにやる「雑誌目次をみる」シリーズ。「AneCan」を買ったついでに「an an」も買ってみたりした。No.1714、2010年4月14日号。特集は「恋人のつくりかた」。女子的にはジェジュンの表紙でズキューンとくるのかもしれないが、私としては、「an an」女子はどういうふうに「恋人」をつくろうというのだろう?という興味本位。
さっそく、目次から特集「恋人のつくりかた」の部分を。
・松雪泰子さんが教えてくれた、恋が生まれる方程式。
彼と二人なら、ハッピーが2倍です!
やめられません、恋の醍醐味。
・藤井リナ&南 明奈がたっぷり語る、
「ハッピーな恋のはじめかた」
・永山絢斗&溝端淳平が告白 男子もモチロン夢見てます!!
恋の始まり、僕たちの理想とは?
まずは有名人、が定番ということか。この人たちについては正直よく知らないのだが、まあ「an an」読者層のロールモデルや理想の恋人像に近い男性たち、ということなんだろう。どの人も「今恋人がいます」とはいってなくて、「手本」としてどうよとか思うが、まあ芸能人だし読者もこれで満足、なのかな。・・まてよ?2010年3月25日付のこの記事には「ドラマ―の沼澤尚と昨年初めに破局していたことが先頃、報道されたばかりの松雪さんは「プロポーズ? 機会があればいいですね」と言葉少なだった」とあるぞ?・・ま、どうでもいいといえばどうでもいい。というかどうでもいい。
・心理すごろくで判断!
あなたに恋人ができない理由は??
「心理すごろく」って何よ?という方もいよう。「世界初(?)の画期的な心理すごろく」なのだそうだ。どこが画期的なのか正直よくわからないが(書いてる人も「世界初」に「?」をつけてるくらいだからわかんないんだろう)、どうも、複数の「恋人ができない理由」に該当する可能性があることのようだ。ほら、ふつうのやつは、ゴールが診断結果になってて、どれか1つにたどりつくわけだが、これは診断結果が途中経過で、そのあとも続いたりする。「心理テスト研究家」の津田秀樹さんが監修、とある。そういう職業があることを初めて知ったのだが、ひょっとしてこの人のことか?ま、それはともかく、挙げられてる理由は7つ。
「自己評価が低すぎる」
「過去の失敗にとらわれている」
「必勝パターンがない」
「人を好きになれない」
「自分に合う人を探している」
「余裕がない」
「今はその時期ではない」
まあそういうもんかね。そもそも「恋人ができない理由」が心理にしかないというあたりですごくバイアスかかってるわけだが、「だからといって商業雑誌に何ができると?」みたいに開き直られても困るのでスルーする。
・私のどこがダメなのですか?
大人男子が一刀両断!!
恋人ができない悩み、解決します。
今度は読者女子3名に大人男子3名が助言するというもの。というか写真だと合コンにしか見えん。というか悩んでるんならさっきの「心理すごろく」やればいいじゃん?・・とまあ目くじらを立てるのもどうかとは思う。こういう記事の趣旨はおそらく「イケメン大人男子に相談に乗ってもらえる」というおいしい状況を読者に疑似体験させてあげることにあるわけで。
・好きな気持ちは、彼に届いてる?
上級者の成功サイン、実例集。
気持ちをあらわすサインが、相手に届いているかどうかを「恋愛上級者2名」が判定!という記事。で、その上級者っていうのは放送作家の勝木友香さんとライターの武田篤典さん。「異性として意識させるサイン」「デートに持ち込む恋のサイン」「本命彼女になるための恋のサイン」の3分野。内容はまあ、あれだ。それよりも、ここで取り上げたいのは、このコーナーに「「ラブプラス」でお勉強 かわいい3人娘に学ぶ、好きな人への正攻法」というコラムがあること。自分でやってみて参考にせよ、といっているわけだ。で、コラムを書いた人は実際にやってみたらしい。
・・赤面必至の胸キュンフレーズのオンパレード。最初は「こんな女子、いないよ」なんて斜に構えていても、彼女たちから好意を示され続けるうちに不思議と慣れ、ついには“嬉しい男ゴコロ”を理解できる境地に達する。あとは実践あるのみ。
だそうだ。「ラブプラス」にはまった男子は、今後「an an」女子に要注目、と棒読みでお勧めしておこう。
・“色気”や“スキ”って何?
恋愛上手の秘密を解明します。
こういうのは女子にはわかりにくい要素らしい。で、伝授いただくのがお2人の「恋する女子の応援団♥」なんだが。メンタルトレーナーの久瑠あさ美さんはいいとして、もう1人がなんと、杉作J太郎さん。なんかすごくこぎれいなおじさま風の写真が載ってて、「本当の恋愛で大切なのは、思いを寄せた人一人にどう受け入れてもらえるかというプロセス。力を注ぐべきなのはモテることではなく、愛する誰かの気持ちを掴むことです」とか語っちゃってる。こういうキャラの人だったっけ?いや別にいいんだけどね。
・出会いは職場でもコンパでもありません。
恋を生む「課外活動」が大人気!!
「課外活動」ってのは、要するにサークルや習い事とか。例として出てるのはボルダリング、ランニング、サーフィン、ゴルフ、サイクリング、ワークショップ、社会人講座、お菓子教室、農園。「ワークショップ」は写真のワークショップがとりあげられてる。裏を返せばこういう趣味がan an女子の皆さんのお好み、ということやね。
・JEJUNG!
ジェジュンが語る、恋のこと。
よく知らんのだが東方神起の人?この号のグラビアページはこの人。無駄に肌を見せたりするのは、男性誌の女性グラビアと同じ発想だよなあ。「みんなが普通にしているような恋愛に憧れるんです」だそうだが、まあそうだろうね。この人の恋愛観に個人的な興味はないのでスルー。
・彼の“ツボ”教えます!
47都道府県別・男子攻略法
こういうの、一昔前の男性週刊誌によくあったような気がする。ほんとにしょうもないと思うが、「ナンバーワン戦略研究所」の矢野新一氏監修、とある。「ナンバーワン戦略研究所」って何?と思ったら、ウェブサイトがあった。「世界不況に生き残れるか否かは、まさに企業のマーケティング戦略しだいです。 (株)ナンバーワン戦略研究所は、乱世の最強の販売戦略である「NO.1戦略」を駆使して、 企業ビジネスを勝利に導くマーケティング戦略機関です。」だそうだが、これと「47都道府県別・男子攻略法」と何の関係があるの?と思ったら、この人、「ビジネスの9割は「県民性」でうまくいく!」という本を出版しておられる(学研新書、2009年。アマゾン検索でヒットせず)。これだ!そうか県民性の「専門家」なわけだ。へえ。で、その専門家の監修で何を言っているか。他のところは実情がわからないので東京をみると、こう。
【攻略法】多摩地区男子は人付き合いが上手なので、打ち解ければ、わりとスムーズに楽しい交際に持ち込める。都下ならではのコンプレックスには触れないように。城西地区の男子は「東京ってスゴイ」と褒めたたえて。「東京は住むところじゃない」「東京人は冷たい」などイメージを押し付けると怒るかも。ストレスケアに細心の注意を払うと、信頼してくれる。熱しやすく冷めやすい城東地区の男子は、じらして独占欲を刺激。ややセクシーで女ぽいファッションが好まれる。
へえ。わかったようなわからないようなだが、そういうもんなのかね。でも何だな、城西地区の女子が城西地区の男子に「東京ってスゴイ」と褒めたたえてもポイントにならない気もするな。ま、いいか。あ、あと、このコーナーの親切なのは、最後に「転勤族」を別途取り上げているところ。「人の顔色を読むのが得意」で、「基本、つるむのは苦手」。「郷土愛を語るのは避けて」だそうである。
・3人に2人が恋の予感。
まだ見ぬ彼を探して、
東京“らぶ”散歩。
趣旨がよくわからん記事だが、「恋に効く」スポットの効能を探るべく東京を歩く、というふれこみ。台東区の今戸神社、麻布十番のヒーリング&美容整体「レボルシオン」、原宿の「ユナイテッドアローズ原宿本店ウィメンズ館、世田谷の御菓子屋「亀屋」、銀座の「300BAR銀座8丁目店」、丸の内の「P.C.M (Pub Cardinal Marunouchi)」を順次巡っていく。これを強行軍と呼ばずして何を、といいたくなる健脚ぶり。恋には体力も必要なのであろう。
・クセや持ち物で丸分かり?
気になる恋人候補の“本性”。
これもタイトルどおりのコーナー。なんでみんな外見で判断しようとするのかなあ?ともあれ、ネタ元は恋愛コラムニストの橋本明彦さん、恋愛・離婚カウンセラーのエンジェル山岡さん、心理学者の植木理恵さん。前の2人はともかく、植木さんは臨床心理士。こういうのいいのかね?ともあれ、これによると、いつも使う筆記具がボールペンで、着メロはいつも同じで、装飾性の強い髪形じゃなくて、飲み会でワインやカクテルを頼む男じゃなくて、女の子を呼び捨てにしなくて、おしゃれ住宅街に住んでいなくて、冷蔵庫に凝った調味料を置いてないっていう男がいいらしいので、そうでない男子で an an女子と仲良くなりたい向きは即刻改めるとよかろう。
・理系男子は恋愛市場の超穴場?
恋人に向く理由を徹底解明。
最近話題の理系男子ももちろんカバー。理系男子に詳しいライターの酒井冬雪さんによると、理系男子は1万人いるらしい。いったいどこでどうやって調べたのか知らないが、検証する意欲はないのでまあそういうことにしておこう。ともかく、「an an」は公称18万部なわけで、その中のどのくらいにこの記事が刺さるのかわからないが、まあそこそこ高い倍率ではあろうな。私の職場にも適齢の独身理系男子が1人いるので、興味ある向きは連絡されたし。先方がan an女子に興味があるかどうかは知らんが。で、理系男子の攻略法としては「先手必勝」「長い目で育てる」「アプローチはわかりやすく」「プライドを捨てる」だそうだ。
もともと「an an」はこの種の話題には積極的だったわけで、まあ予想どおりといえば予想どおり。で、「an an」について前から気づいていていつか書こうと思っていたのは、スピリチュアル系サービスの広告ページ。この雑誌、だいたい全体で約140ページ強なんだが、自分のところの占いページを入れると全体のだいたい10%、14ページが、占いや祈祷などスピリチュアル関連サービスやその広告で埋め尽くされてる。女性向け雑誌にこういう広告が出てるのは珍しくないだろうが、ここまでの規模なのはこの雑誌くらいではないだろうか。なかでも目立つのは「復活愛」関連サービス。そもそも「復活愛」ということばは、「継続愛」と併せて㈱東京エムシーという会社の登録商標であるらしい。調べてみると、おおあるある。2002年に出願。
(511) (512) 【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
3 家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛
14 貴金属,キーホルダー,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製針箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製宝石箱,貴金属製の花瓶及び水盤,記念カップ,記念たて,身飾品,貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,貴金属製コンパクト,貴金属製靴飾り,時計,貴金属製喫煙用具
45 ファッション情報の提供,新聞記事情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,占い及びインターネットその他の通信ネットワークを利用した占いに関する情報の提供,身の上相談,衣服の貸与,祭壇の貸与,装身具の貸与
とかいいながら、その東京エムシーの広告の横に他社が平気で「復活愛」を請け負うとの広告を出してたりして。なんともカオス感漂う一角ではある。ともあれ「an an」、部数はよく知らんが内容的にはますます快調のようで、うれしい限り。今後もぜひ斜め上に突っ走っていっていただきたい。
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Comments
私も最近、おじさんとして女性誌を読むようになりました。きっかけはan・anの「本とマンガ特集」でした。その後、家内が持っているいろいろな女性誌を盗み見しているのですが、基本的に男にはないプラス志向があるように思います。だからやっていけるのでしょうね(笑)。
Posted by: T.IMAI | April 12, 2010 06:04 PM
T.IMAIさん、コメントありがとうございます。
ご指摘の通り、自己肯定的なメッセージが色濃く出ているところは多くの女性誌に共通していますね。性別そのものに起因するのか社会的な状況等を反映しているのかはわかりませんが、ともあれ興味深いです。
Posted by: 山口 浩 | April 14, 2010 04:04 PM