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June 13, 2010

DSJ2010をのぞいてきたのでメモ

2010年6月9~11日に幕張でやってた「デジタルサイネージジャパン2010」というのを見に行ってきた。「Interop Tokyo 2010」「IMC Tokyo 2010」「Mobile & Wireless Tokyo 2010」といっしょにやってたやつ。まじめなレポートはあちこちにあると思うし、もう終わっちゃったし、なんだかんだと出せないものもあるので、ここでは撮った写真やら動画やらで出せるやつをおいとくってことで。

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おおまかにいえば、大画面と3Dとモバイル連携、あとは顔認識とARあたりがキーワードなんだろうか。基本的に「わあすごい」系の展示に注目が集まるのは当然といえば当然。そういうレポートはちゃんとメディアの人たちとかがやってるのでそちらをご覧いただければ。ぱっと見渡して目に入った他のレポートへのリンクをおいとく。

電子看板の見本市開幕 幕張メッセで11日まで」(47news)
電子看板、携帯やセンサーとも連動 デジタルサイネージジャパン2009開幕」(IT-PLUS)
デジタル化は広告の未来を切り開くのか? - DSJ 2010が開催」(マイコミジャーナル)
デジタルサイネージでは裸眼で立体視、電子コミックも3D化 」(Internet Watch)
「デジタルサイネージアワード2010」も発表! デジタルサイネージ ジャパン2010」(ぐんぐんぐんま~とうとう東京)
公式ツイッターアカウントは @DSignageJapan


デジタルサイネージにARを組み合わせる例がけっこうみられたので、その中でいくつか。これはDNPのActivisionを使った、旅行代理店での利用を念頭においたデモ。旅行チラシを見せると画面上に当該旅行に関する情報が重ねて表示される。チラシの画像自体を認識するマーカレスのAR。ここでは価格情報が表示されてるが、チラシに合わせて背景をその観光地に入れ替えるみたいな方が自然な発想ではあるような気がする。まあこれは一例ってことで。


こちらはシャープ。顔認識とARを組み合わせて、顔の上に映像を表示している。顔認識のシステムを出展してる会社は他にもいくつかあって、たいていは性別と年代ぐらいは見分けるしくみ。とりあえず自分が実年齢より若く判定されたので機嫌よくなったりしたのは内緒。正面を向いたときだけ映像が表示されるので、つい顔を画面に向けたくなるわけだ。で、その横にある広告を見せようというしかけ。


基本的にこの手の、なんらかの動きで画面に注目させようというしかけが多い。こちらはトーキーシステム有限責任事業組合のARデジタルサイネージのデモ。画面上の目が自分を追いかけるように視線を動かす。これで画面に注目させ、画面右下に表示させたケータイ向けクーポンを取らせようというしくみ。説明していただいた方はしきりに恐縮していらっしゃるが、個人的にはこのくらい「脱力系」のほうが許せる感じではある。関西弁のおかげもあるかも。


こちらは㈱dezzi-bitのインテリジェント・デジタルサイネージのデモ。食品売り場を想定し、表示される情報が常に客の前に見えるよう追尾する、というもの。これやろうと思ったら表示パネルを横にずうっとおいとかなきゃいけないんだが、その商品の売り場から離れてもその商品を表示し続けなきゃいけない理由はいまひとつよくわからない。


別にここに挙げたものだけに限らないが、全体としていまいちな感じがするのは、ここで提示された使われ方があんまり気を引かないせいかと思う。要するにコンテンツの問題だ。このあたりは、デモをやってらっしゃる各企業(多くは機器やシステムのメーカーさんだし)の責任というわけでは必ずしもないのかもしれないので、別にどういういうつもりはない。ないのだが、この状態でさあデジタルサイネージだと飛びつきたくなる人ばかりでもなかろうとは思う。いわば「生みの苦しみ」の時期なのかもしれない。これから天才的な広告クリエータの方々がすばらしいアイデアで画期的な広告を作って、デジタルサイネージが一気に普及していくのかもしれないし。

コンテンツということでいうと、基本的に、街中に画面があっても、人はそんなに注目しないのではないか、ということがある。考えてみれば、街中にはすでに広告看板やらポスターやらがあふれかえってるわけで、電車の中のような特殊な場所、状況であれば、皆興味をもって見るかもしれないが、街中に四角い画面があって何かが映っていたとしても、あまり注目は引かない。では動きをつければいいかというと、それも慣れてしまえばあまり目立つものではない。あのパチンコ屋の電飾看板とかだって、見慣れれば完全に意識から消せるのだ、人間は。

いきおい、インタラクティブ性が注目されることになるのだろうが、出展されていたものの中に、面白いインタラクションをするものがあんまり見られなかったという印象がある。自分の動きに反応して、画面に映った自分の顔が変わったり、画面中で何か落ちてきたり、何かが動いたりついてきたりしたりするのは、もちろんふつうにただ絵が動いてるのよりいいし、興味をもってみてくれる人には効果があるかもしれないが、それでもたいていはギミックの域を出ないわけで、少なくとも現段階では正直、ちょっと弱い気がする。

インタラクティブ性ということでいえば、人の関与、なんてことは考えられないんだろうか。たとえばDNPが出展していた「バーチャルマネキン」は、上のリンク先記事のどこかに出ている(動画を撮ったが公開不可だったので)。住友スリーエムのVikuitiリア・プロジェクション・フィルムを透明フィルムアクリルの等身大人型パネルに投影するもの、だそうだが、正直な話、決まったことをしゃべるだけなら、別にパネルを人型に切り抜く必要は必ずしもない。でも、もしここに「中の人」がいて、自分と対話してくれるようになっていたら、来客にとって、このパネルが人型に切り抜かれていることの意味は大きく変わってくるのではないか。別に投影される人物が現実の人である必要はなくて、それこそ萌えキャラでもいいわけだ。応対する側も、中の人はこの場にいなくてもいいから、やる意味はそれなりにあるんじゃないかと思う。そういうのは広告というよりプロモーションの領域なのかもしれないけど、道具として面白く使えるんじゃないだろうか。

それから、コンテンツをどうやって作るの問題というのもある。ハイビジョン画質もけっこうだが、そのハイビジョン画質で何を映すの、それ誰が作るの誰がその費用払うのという話。展示の中にはコンテンツ自動生成システムみたいなものも複数あったが、ゼロから作ってくれるわけじゃない。そもそも今ポスターやら看板やらで広告してる企業が、いくら効果的だとしても、デジタルサイネージになったら急に何倍もお金を払ってくれるわけでもなかろう。設置費用に加えてコンテンツ制作まで資金が回るのかというのはけっこう深刻な問題ではないかと思う。

その観点でちょっとおもしろかったのが、㈱QLOPによる「メールDEドーガ」サービスのデモ。沖縄の伊江島ですでに導入されてるそうだが、基本的にはケータイ動画を表示するというもの。旅行者が島の各地で撮った動画を専用サイトにアップすると、その中からいいものを選んでここに表示するというしくみ。これを島の目立つところに置いてある由。要するにコンテンツづくりを旅行者たちにやらせるというわけ。これでいいものが集まる保証はないが、ひとつのやり方ではある。どこにでも使える手ではもちろんないが、うまくはまれば面白いことができそう。


あと、どうもデジタルサイネージ全般について、「お上品」な感じがつきまとうのも気になる。「目立たない」問題も、いってみればこのお上品さからきてる部分があるのかもしれない。広告ってもっと下世話で、売らんかな意識丸出しで、みたいなところがあるはずで。その観点からは、こういうのも悪くないのではないかな。

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デジタルサイネージと、従来型の電光掲示板みたいなのを組み合わせている。電光掲示板は目立つし、それが広告だということが一発でわかる。で、デジタルサイネージの方に注目させるというわけだ。

似たような意味で、これも個人的に好み。LED サイネージ「ルミナート」。というか、要は電光掲示板ちょうちんだ。これをいわゆるデジタルサイネージの中に入れていいのかどうかという話もあるかもしれないが、まあよしとして。これはなんというか、インパクトがある。広告だということははっきりわかるし、ちょうちんという古典的な形であることが、なんというかな、われわれの記憶の奥底の何かを刺激したりしちゃうわけだ。これならコンテンツ考えるまでもないし。中国で作られたそうで、かの国ではすでに実際に使われてる由。日本でどうかというと、お祭りなんかで使ったらいい。あと、せっかく公職選挙法に認められた手段でもあることだし、ぜひ選挙にこのちょうちんを活用していただく陣営が出てくることを期待したい。何かと服装が話題になるかの田村耕太郎参議院議員などの事務所にはまさにぴったりなのではないか。


最後にこれ。こういうの好きだなあ。個人的にチンドン屋さんというのがけっこう好きなんだが、チンドン屋業界にちょっとした革命を起こすんじゃないかねこの方向性。あと、ぜひ行列のできるところで「ここが最後尾」みたいなのを表示して使っていただくといいと思う。

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とにかく、最先端のツールだからといって最先端をアピールする方向だけ、というのはちょっといかがなものかという気がする。伝えたいのは技術じゃないわけで。まあ私のような素人にいわれずとも、今後優秀な方々がいろいろおもしろいことをしかけてくるんだろうから、そちらを期待、ということではあるけど。


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