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CEROというやり方

東京都の青少年健全育成条例改正問題で、出版社が東京国際アニメフェアをボイコットするという流れになっているらしい。採決がどうなるのかについては情報が錯綜しているようでもあって、少なくとも私にはよくわからないのだが、いろいろ迷いがあるらしい事情はわからなくもない。本来この問題は、両派全面対決、というスジの話ではなく、みんなでよりよいやり方を考えていこう、という方向性であるべきと思うのだが、どうにもお互いにそういう雰囲気にない感じなのは残念に思う。

私の意見は前の記事に書いたとおりで、このままの改正には反対なんだが、業界として区分して販売できるように努力すべきだとは思う。で、多少参考になるかと思うので、CEROについて少しだけメモしておく。

CEROというのは特定非営利活動法人コンピュータエンタテインメントレーティング機構の略称だ。いわゆるゲームのレーティングをしている組織で、ゲーム会社やゲーム業界からは一応切り離された建付になっている。詳しい内容は当該サイトでご確認いただきたい。

レーティングの基準なんかも出ているが、もちろん若干の解釈の余地はある。これはむしろ意図的に、時代の変化等に対応して臨機応変に対応していこうということだ。そのあたりも含め、IGDA日本代表の新清士さんがtwitterで書いておられたので、勝手ながらまとめてみた。

ここでのポイントは、こうした柔軟な対応は、権力をもって行われるべきではない、ということだ。

別にCEROのやり方がベストとかいうつもりはない。第三者団体はコストもかかるし、すべてのゲームがCEROの審査を受けてるというわけじゃない。そもそもゲームはさまざまな批判を浴びて、その結果の1つがCEROであるともいえるわけで、いろいろデリケートな問題もある。彼らとしても、ここで変に注目を集めたりするのはあまりうれしくないだろう。とはいえ、こうしてレーティングを行う組織が運営され、一定の効果を挙げていることはやはり注目すべきだ。

ここでいいたいのは、出版業界としてももう一歩踏み込んだ取り組みを行う姿勢を示すべきではないか、ということだ。本来、表現の自由と販売場所の区分は矛盾しない。それが問題になっているのは、ひとつは条例改正を推進、賛成する立場の人たちの中に、「本当は表現規制をしたいけどそこまでやるのは大変だから販売規制で“実”をとどう」という思惑だとか、「改正しちゃえばあとは解釈でいくらでも広げられる」という計算だとかが透けて見えている(正直そう見える。付帯決議は抑止力にはならない。そもそもガス抜きでしかない)からだが、それだけでもないと思う。

本格的にレーティングみたいなのを入れて、販売場所を区分してとなれば、いろいろたいへんだろうことは素人にも想像できる。でもそれは、これまで、少なくとも一部の顧客にある種の「我慢」を強いてきたことでもあるわけだ。いつまでもこのままでいいという話なのか、という問いに対しては、やはり真剣に考えていただきたいと思う。

前の記事に書いた私の案は、今回の改正案が対象とする狭い範囲のものだけでなく、「小さい子供に見せてもいいもの」とそうでないものを区分しようというわけで、ごく一部だけを区分する場合より、売り場の設計が少しはやりやすいのではないかと思う。自主的にレーティングを行い、区分販売をさらに推奨していくような方向を打ち出せれば、規制賛成派と折り合う余地が出てくるかもしれないではないか。

もう遅い、ということなのかもしれないが、まだ時間はある、という見方もある。本来この件は、そういう話し合いをきちんと重ねた上で決めるべきであって、水面下で作業していきなり条例案をどん、と出すような筋合いのものでないのは自明だ。

都小学校PTA協議会(都小P、加盟248校)▽都私立中学校高等学校父母の会中央連合会(同246校)など5団体が条例改正を求めた要望書を出したそうだが、本当に保護者に聞いたのだろうか。少なくとも私は「P」の一員ではあるが、この問題に関し意見を聞かれたことなどただの一度もない。都なり都の関係者なりから頼まれたのだろうが、勝手に人の意見を代弁する前に、もう少し冷静に考えてもらいたい。今の案では、親として望ましいと思う状態、いかがわしい週刊誌やら何やらが小さな子供の目に触れないですむ状態は実現できないのだ。今の案はほんの一部しか対象になっていない。他にもやり方はある。少なくとも現行案よりはるかにましなやり方が。感情に流されるのは個人としてはしかたないが、社会としては、理屈に合わないことを進めてはいけない。

というわけで、少なくとも、今決めるのではなく、もう少し時間をかけて、ちゃんと話し合いをしていくべきかと思う。

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