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「組織は人」だが「組織」は「人」ではない、という話

「組織は人」とよくいう。組織はもとより人の集まりだから当然といえば当然だが、人が組織のパフォーマンスを決める要であり、優れた経営者は人を重視する、ぐらいのニュアンスで使われることが多いだろうか。武田信玄の「人は城」は後世の創作だそうだが、ともあれ古くからある考え方だし、いろいろな人がいろいろなことばで語ってるから、いちいち繰り返すまでもあるまい。

以上はいわば「枕」で、ここからが本題。手短に。

よく組織を擬人化というか、1つにまとめて語るやり方がある。たとえば「ソニーが元気だ」とかみたいな感じ(実際にソニーが「元気」かどうかはここでは本題ではないのでおいとく)。法人なら「法人格」があるわけで、全体として1つの法的主体であることはまちがいないし、こういうことばを使うと話が早くなるというメリットもある。また、組織でなくても、ある人の集団を指して何かいう場合にそれを1人の人であるかのように語るやり方もある。たとえば「日本はもうちょっと元気出していかないと」とかみたいな感じ。その集団にみられる一般的な傾向ってこともあるし、これも基本的にはわからなくもない。

なのでいちがいに問題があるとかいうことではないんだが、これもよく見かける、擬人化して罵倒する言説については、あんまりよくないなと感じることがちょいちょいある。今だと「原子力安全保安院がアホだからさあ」とか「東電には改革への意識がまるでない」みたいな感じだろうか。擬人化まではしなくても、ある組織や集団に属する人たちを十把一絡げにして罵倒する人はいる。「官僚はみんなクズ」とか「マスゴミ」とかよくいう。

気持ちはわからなくもないんだが、当然ながらこういう組織にはたくさんの人が属しているわけで、そこにはいろいろな人がいる。中には、罵倒されるような状況をなんとかしようとがんばっている人もいるはず。そういう組織では、がんばってる人はなかなか評価されなかったり、疎んじられたりしていることもよくある話。それが状況の改善を阻む理由になっているかもしれない。ならば全体をひとくくりにして罵倒するより、むしろそういう人を応援してあげたらどうか、と思う。そういう外部の声は、いまの時代は以前と比べてけっこう届きやすくなってきているから、案外力があるかもしれない。

組織の中の個人を識別できないからどうしても全体をひとくくりにしてしまうという面もあるだろうが、ならば最低限、組織と人、作為や不作為と人を区別してあげたらいい。ただ100点満点を要求するのではなく、少しでも改善したら積極的に評価しよう。他者を罵倒して溜飲を下げたいというだけなら話は別だが、事態の改善を望むのであれば。

以上、「組織は人」であるがゆえに、「組織」は「人」ではないことを意識しよう、という一席。



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