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夏の電力ピーク時にテレビ放送を休止してはどうか

先日、シノドスジャーナルに「この夏を乗り切るために私たちがすべき10のこと」と題して、節電しよう、みたいな文章を書いたのだが、昨日「報道ステーション」で、家庭やオフィスの具体的な節電提案をしていて、そうそうこれこれ、と思った。単に節電が必要、じゃなくて、視聴者に自分たちの問題ととらえさせようとしている姿勢は好感がもてる。

脱原発をアツく語り続けている同番組がやるべきなのは、電力が足りてる足りてるとぶちあげて危ない橋を渡らせることじゃなくて、圧倒的な節電でおもいっきり電力余らせて「なんだこれなら原発ほんとにいらないじゃん」とみんなに思わせるための具体的な提言だろう。根拠なくいうが、世の再稼働容認派の大半は原発が好きなんじゃなくて電力不足の影響がイヤなだけなので、産業界に無理をさせずにそういう状況を作れるなら、世論は一気に固まる。

でも、せっかくなら、テレビにはまだできることがあるはずだ。もっと直接的に。いうまでもない。それは、夏の電力需要のピーク時間帯に、テレビ放送を休止することだ。似たようなことを言ってる人は前にもいたと思うが、繰り返しになってもかまわないと思うので、手短にひとくさり。

放送を休止するというのは、もちろんテレビ局だけの問題ではない。それを見るであろう視聴者世帯のテレビのスイッチが切られる可能性を意味する。調べないで書いてるのでうろ覚えだが、午後2~4時あたりの時間帯の総世帯視聴率はおよそ30%前後だろう。これを信じるとして、全国約5000万世帯の全部にテレビがあるとして、その30%で見ているテレビを消したとしたら、そしてその消費電力の平均が概ね200Whぐらいだとしたら・・。この手の数字を出すとすぐあれこれ検証してあーだこーだケチをつける人がいるのであえてやらないが、とにかく相当規模の節電が期待できるであろうことはいえるはずだ。

ついでに、その間家を出て(その前にコンセントも抜いてな)、街中の「クールスポット」で過ごしていただくようにすれば、エアコンも消されてなおよろしいので、そのあたりも含めて。この2つで家庭の消費電力の3割だか4割だかぐらいを占めてるはずだ。これだけで「電力が圧倒的に余る」状況になるかどうかは怪しいものだが、少なくともこの夏に関していえば、実現すればそれなりの効果があるのではないかと思う。何より、世論が変わるだろう。

もちろんこれは、放送が休止したからといってそのテレビでゲームやったりDVD見たりすると台なしなので、そのへんも含めて、テレビで大キャンペーンを張っていただくとよろしい。つまり、家庭の消費電力を最小限にしようとする消費者の努力を後押しするために、テレビ局が自ら身を切る勇気を見せてはどうか、ということだ。少なくとも「報道ステーション」の皆様には熱烈なるご賛同をいただけるものと信じる。テレビ局としても、半端な募金やったり、なんちゃってチャリティ番組やったりするより、はるかに社会的責任を果たす行動だと思うのだが。

こうなったら、ぜひスポンサーにもご協力いただこう。スポンサー料を払って放送休止に協力する「勇者」企業が出たら、これは絶賛に値するのではないか。もちろんすべてのスポンサー企業がそうする必要はないが、そのくらいの気概のある企業があってもおかしくない。企業イメージ大幅アップ!ではないか。

放送には、何か非常事態が起きたときの情報ルートという大切な役割もある。これはぜひ、ラジオに担っていただこう。ラジオなら電池で動くし、どこにでも持ち出せる。夏の風物詩である甲子園の中継も、必要ならみんなでラジオの前にかじりつけばいいじゃん。これを機に、みんなラジオを持ち歩こうキャンペーンもやれば、防災上も有効だ。

以上、「暴論」シリーズの1つとして書こうと思ったんだが、これは暴論ではなく「正論」ではないかと思い直したので、この殴り書きのまま止めとく。


※2012/05/01追記
ツイッターの方で、「テレビに依存するところの大きい聴覚障害者や高齢者などのことは考えているのか」といったご質問(というかご指摘か)をいただいたのだが、140字だといろいろ誤解を招いたりしそうなのでこっちに書いておく。
Wikipediaには「日本で聴覚障害者として身体障害者手帳を交付されている人は約36万人である。しかし実態は、聴力が衰えた高齢者や「話すのにやや不便を感じる」という軽度の難聴者まで含めると、約600万人いると言われる」とあって、これを信用するなら、潜在的には多くの人に影響を及ぼす話ではあるから、ご指摘は的を射たものと思う。もちろんこのことは承知の上で書いている。
上の文章の趣旨は、ひとことでいえば、だからといってこの問題を聖域にしておいたままではいけないということだ。報道ステーションの中で古舘氏は、「電力ピークとなる時間帯はごくわずかだ」と指摘し、だから皆で協力してその時間帯は節電しようと主張したものと理解している。私の主張は、基本的にこの線に乗っかったものだ。家庭の電力需要の主要なものはエアコンとテレビであり、その2つを切って家を出、街のクールスポットでピーク時間帯を過ごす人が多くいれば、昨年以上の節電が家庭部門でも期待できるのではないか、と考えたわけだ。
どんな策にも、影響を被る人は出てくる。それを障害者の方々に押し付けろと主張するつもりはないが、障害者だから聖域にしろというのもやや乱暴な議論ではないか、とは思う。日本中の誰もが影響を受ける問題であり、体や年齢の事情にかかわりなく深刻な影響を受ける人はいる。それらへできるだけの配慮をしつつ対策をとるべきなのは当然だが、社会全体としての「着地点」をどこらあたりに求めるかについては、もっと率直な議論があってしかるべきだ。私たちの社会は弱者に対する配慮を欠かすべきではないが、弱者だけのために存在するわけではないし、弱者は障害者や高齢者だけではない。そもそもこうした「誰が最も弱者なのか」みたいな競争は不毛だ。もちろん人によって事情は異なるはずで、「障害者」「高齢者」とひとくくりにして、保護の客体としての絶対的弱者にまつりあげるようなことは、当事者の方々にとってかえって失礼ではないか。それはまさに、佐々木俊尚氏が近著「当事者の時代」で指摘した「マイノリティ憑依」そのものだ。
弊害があればその影響を小さくするための方法を考えるのは当然のことで、今はそれを皆で(当事者の方々も含めて)考えていく時期かと思う。繰り返すが、私たちは社会として、「最悪の事態に備える」ことを選択した。夏の電力需要が供給力を上回るリスクはある以上対策が必要で、その中には節電も当然含まれるはずだ。節電に関して、企業部門は総じて家計部門以上の努力を払っており、かつその影響は日本経済全体(これが社会福祉の原資でもあることを忘れてはならない)に及ぶ。夏の一時期、電力需要がピークになる数時間に需要をどのように抑えるかが日本全体にとって大きな課題となっている。家計部門の電力消費の主要部分はエアコンとテレビであり、これらの電力需要をどのように抑えるかは、テレビ放送をどうするかにかかわらず、大きな問題なのだ。ここで提案した方法以外にも、いろいろ案はあるだろう。ならばそれらをどんどん出して、やれるものはどんどん実施していけばいい。私たち1人1人がそれをやっていくことが、皆で社会を支えるということなのではないかと思う。



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Comments

あり得ない!

Posted by: TAKAICHI | April 24, 2012 at 05:39 PM

大賛成。ヤマグチさんがあえてやらなかった計算をざっと暗算でやってみると1000万台のテレビを消したらおよそ大飯原発3,4号機2基を合わせた分に相当する。この2台を再稼働するよりずっと現実的だ(事故のリスクを金で勘定してみればどれだけ高くつくかわかるだろう)。
1時間の放送枠を買って、「ただいまより59分間テレビ放送を休止します。提供凸凹株式会社」ってCMやったら下手なタレントのCMよりずっと受けるに違いない。

Posted by: Kamimura | April 24, 2012 at 11:11 PM

そのくらいして丁度いい。TVの見すぎだ!

Posted by: jamba | April 25, 2012 at 02:39 AM

テレビの不必要度合いが国民にばれます

Posted by: 茶爺 | April 30, 2012 at 11:25 AM

節電対策を考えるとき、障害者や高齢者のことを一緒に考える必要があることを忘れがちだと思います。

テレビを休止してしまったら聴覚障害者はどうやって情報を得るのでしょう。

私は弱視の視覚障害を持っています。
テレビで見る映像は私にとって大事な情報源の一つ。

昨年夏の節電で駅が暗くなりました。
私自身とても不安でしたし、暗くて周りが見えずにホームから落ちて大けがをした視覚障碍者の友人もいます。

そういったことを考慮せずに、安易に節電の議論を進めてほしくないです。

Posted by: ひで | April 30, 2012 at 12:57 PM

賛成です。
無駄にドラマの再放送でもするなら放送しない方がいい。録画したドラマ見よう、ゲームしよう、と思う人もいるだろうが、逆に言えばTVの電源を切る人だっている。

緊急時についての議論もあるが、例えば台風が接近している場合はそもそも外に出ようと考える人は少ないだろうし、情報が必要であるためこの時には放送休止はしなければよい。
緊急災害時にも同じである。多少復旧に時間はかかるだろうが、そもそもTVに情報が流れるのは災害が起こった直後とは言えないからこの程度のラグは問題ないだろう。

にしても、ガスを使わずオール電化でエコなどとは言うが最近ではこれも怪しくなってきているなと思う。

Posted by: yuu | April 30, 2012 at 05:54 PM

ほぼ全ての人が所有している文明の利器「携帯電話」をもっと活用しては?
地デジ放送は休止して、ワンセグのみ放送し、携帯で視聴する。あるいは、「緊急電力不足速報!電力が不足しています、テレビを消して、携帯電話のワンセグで視聴してください。」みたいな放送があっても良いのでは?
ワンセグ視聴できる古い携帯の1,2台、みなさん持ってるのでは?
SIMカードがないと動作しない携帯もありますが、そこは携帯各社が協力し通話・通信以外を使えるようにすれば済むこと。

Posted by: 瓦版 | May 01, 2012 at 04:28 AM

気象業務法15条
気象庁は、(中略)気象、地象、津波、高潮、波浪及び洪水の警報をしたときは、政令の定めるところにより、直ちにその警報事項を(中略)日本放送協会の機関に通知しなければならない。(後略)
6  第一項の通知を受けた日本放送協会の機関は、直ちにその通知された事項の放送をしなければならない。

放送法108条
基幹放送事業者は、国内基幹放送等を行うに当たり、暴風、豪雨、洪水、地震、大規模な火事その他による災害が発生し、又は発生するおそれがある場合には、その発生を予防し、又はその被害を軽減するために役立つ放送をするようにしなければならない。

電波止められない以上放送局ができる節電って普通のオフィスと大差ないわけですが・・・

Posted by: 年寄 | May 03, 2012 at 12:59 AM

TV放送はNHKだけでやっていればいいです。
私はNHKの情報系番組しか見ていません。
笑い死にさせようとしている、サブリミナルで不用品を押し売りしようとしている、そんな無益な番組は要りませんよね。

Posted by: 弱い者をいじめるマス○ミは不要 | May 03, 2012 at 07:05 AM

何を血迷った事を言っているんだ!
情報を得るに欠かせないテレビ放送を休止させるなど、
正気の沙汰ではないぞ!
我々の娯楽番組を見れないようにする売国の輩は断じて
許さんぞ!
寝言は寝てから言え!

Posted by: ピチュ | May 05, 2012 at 09:18 AM

うーん、確かにTV昼間2時間強制的に消すなんて案が一番なのかなぁ・・・。

でもなんか、この人を含めてTVはよくないっていう考えを思考停止状態で受け入れている考えが見え隠れ。

あえて反対です。現実的じゃない。政府がかじとりしないと。政府も多分そんなことしないでしょ?利害関係とかで。

あと言いたいのは、TVがよくないって一般論について。仕事でストレスが多い人はTVを見て思考をするのをやめてストレス発散する人も多い。他のストレス発散方法より一番簡単で手軽。

勝間とかいろんな人がTVは時間の無駄、見ない方がいいとか言う人たくさんいるけど、安易にそういう考えを受け入れるほうが思考停止してるんじゃない?だってTVみようがみまいがその人の勝手。見るなとか、時間の無駄なんてのは大きなお世話でしょ。自分の人生だけ気にしてくださいな。

ずれましたが、これ言いたかったです。

Posted by: あのさ | May 16, 2012 at 11:53 PM

うーんと、細かい事綺麗ごとと言わずこう言えば賛同者は多くなると思う。

「原発依存症の大手電力会社とそれをとりまく社会(政府、行政、マスコミ)への、個人でできる嫌がらせの一環という意味でのピーク時間帯のTV(他家電)電源オフ」

政府の施策として文句があるなら選挙で落とせばいい。自民党ともども民主党を。

しかし、行政の施策としては文句があっても個人ではどうしようもない。
しかも本来はチェック権力としてのマスコミは骨抜きにされている始末。

故に個人でできる対抗法としての意味でピーク時間帯の節電や、太陽光発電パネルを活用した電力消費そのものの抑制を図るとすべきでしょう。

伝説の2chネラーによる海岸徹底清掃による24時間TV出し抜き事件のごとく「こういう原子力ムラへの嫌がらせをみんなでしようぜ~」と呼びかければみんな面白がって実行するかもしれません。ただし・・・

「ネット利用者≠ピーク時間帯のTV視聴者」でもあるのも事実なのでどの程度まで効果あるかはなんとも言えませんねぇ・・・

Posted by: 身も蓋も無く | June 17, 2012 at 10:47 AM

企業が節電頑張り過ぎて、必要だったサーバーのN号機を落として大問題とかは嫌ですね。
それが銀行だったりしたら…
何をするにしても、熱くなりすぎてはいけないと思います。
冷静に、冷静に・・・
まー世の中、暑いですけどねw
今日とか、青森で35℃だしw

Posted by: onigiri | July 31, 2012 at 05:54 PM

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