« タクシーの空車表示はもっとわかりやすくならないのか | Main | 『風立ちぬ』を見てきた »

August 10, 2013

タシロ計画:「忘れない」という「希望の物語」

田代島、という島がある。宮城県石巻市、牡鹿半島をはさんで金華山の反対側。「ひょっこりひょうたん島」のモデルになったとされる島の1つでもある(モデルとされる島は他にもいくつかあって、最近だと岩手県大槌町の蓬莱島が、テレビCMにも出たりして有名になった)。Wikipediaによると、「ネコの島」でもあるらしい(実際、猫神社という神社がある)。地図でいうとこのあたり。


大きな地図で見る

この田代島を舞台にした物語を作ろうという動きがある。『タシロ計画』、というらしい。

中心になっているのは、せんだいみやぎコンテンツプロジェクト。「アニメ・ライトノベル・ゲーム・ボカロなどのコンテンツによる仙台・宮城の震災復興支援と新しい街づくりを試みるボランティアグループ」だそうだ。

『タシロ計画』は、「”あの日の500年後から始まる希望の物語”」である、と説明されている。「ノベル執筆:佐藤茂(小説『∀ガンダム』シリーズ他)、イラスト:ぎん太(『竜と勇者と可愛げのない私』挿絵他)」とあるから、きちんとしたプロの方々が手がけておられることがわかる。

で、その『タシロ計画』、正確にはその外伝の『タシロ計画SS』であるらしいが、今日から東京ビッグサイトで開催されるコミックマーケット84で、オーディオドラマCDを頒布するらしい。出演は荒川美穂さん、伊瀬茉莉也さん。コミケに詳しい方向けの表記でいくと「2日目東プ31bサークルsmcp」だそうだ(つまり明日ということ)。ごく一部だがYouTubeで聞くことができる。

このプロジェクトに関わっておられる方と多少のつながりがあって、今回のオーディオドラマCD、視聴させていただいた。ネタバレにならない範囲で簡単に書くと、このドラマのテーマは、「もしあのとき、何が起きるかをあらかじめ知っていたら、何ができただろうか」ということになる。

似たような話を、ほぼ1年前の同じ時期にも書いた。

『アステリズム』のこと、「もしも」のこと

この文章で取り上げた『アステリズム』はいわゆる18禁ゲームだが、この中には大地震が起きるシーンがあり、そこで登場人物は、過去にタイムスリップして、人々を震災から救おうとする。その点では『タシロ計画SS』と同じテーマといえるかもしれない。このゲームを作ったチュアブルソフトの代表の方にゼミでやってるニコ生に出ていただいた関係もあって書いた記事だが、この会社は上記の「せんだいみやぎコンテンツプロジェクト」の人たちともつながりがある。「もしもあのとき何かできていたら」は誰もが抱く夢、ということなんだろう。

もちろん、当然ながら、実際には「もしもあのときこうしていたら」は現実味にかける空想だ。タイムパラドックスが、みたいなめんどくさい話を持ちださなくても、そもそも過去に戻る技術自体が存在しないわけだし。

しかし、それでも「もしもあのとき」という話には、抗いがたい魅力がある。去年の文章では、「この時期くらい感傷っぽくなってもいいじゃん」的な気持ちだったわけだが、震災から約2年半を経過した今の時点では、少し変わってきた。

それは、「忘れない」ためということだ。2年半を経過して、復興はいよいよ「忘却」との本格的な戦いが始まっているように思う。「もしもあのときこうしていれば」という空想とともにわきあがる「なぜそうできなかったのか」というくやしさは、現実に流され、忘却の彼方に押しやってしまいそうになる復興への思いを新たにするきっかけになるのではないか。それが「希望の物語」なのかどうかは正直よくわからないが、何にせよ復興が進むのであれば、それはやはり「希望の物語」ではある、ということなのかな。

ドラマCDは「続きを聞きたいなあ」という印象があるので、ともあれ「タシロ計画」、今後のさらなる展開を期待したいところ。それが私のささいな「希望の物語」、ということでひとつ。



Tumblrに投稿

Evernoteにクリップ

|

« タクシーの空車表示はもっとわかりやすくならないのか | Main | 『風立ちぬ』を見てきた »

Comments

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference タシロ計画:「忘れない」という「希望の物語」:

« タクシーの空車表示はもっとわかりやすくならないのか | Main | 『風立ちぬ』を見てきた »