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ショートパンツにすればよかったのに

少し前に話題になった、スカイマークの客室乗務員の制服がミニのワンピースになったという件だが、実際には丈が少し長くなったらしい。

スカイマークが「ちょいミニスカ」に
(日刊スポーツ2014年6月14日)
この日から半年間、宣伝のために着るミニスカートは「保安業務に支障が出る」「セクハラ行為を招く」と物議を醸し、膝上25センチだったスカートの裾を10センチ伸ばした。西久保慎一社長は「話題を呼ぶ役割は果たしたので『超ミニスカ』から『ちょいミニスカ』にした」と話している。

「役割は果たした」っていうのは何かを撤回する際のお約束の言い訳だ。要するに批判が殺到したってことだろう。この件、別のところに書いたものがあったので、少し書き足してこちらにも載せてみる。

女性の衣服にはあまり詳しくないが、かつて1970年代に日本航空が採用してセンセーションを巻き起こしたミニの制服が膝上8cmぐらいだったそうで、それと比べれば「膝上25cm」というのは極端に短いし、伸ばした後の15cmも充分短い。それより問題なのはワンピース型であることで、機内作業などで腕を上げればスカートの裾も持ち上がる。それを狙って採用したのだとすれば相当あざとい感はある。

スカイマーク、新型機エアバスA330型機の客室乗務員の制服を「ミニスカ」に!
(Traicy2013年12月16日)
スカイマークは、2014年3月に国内幹線に投入する、新型機エアバスA330型機の導入にあわせ、客室乗務員の制服をミニスカにする。

街中でそのぐらいの服装をした女性はさほど珍しくもないだろうが、企業が制服で採用というのはそれなりの社会的インパクトがある。セクハラという批判が出るのは、さもありなんではある。そもそもそうした反応もある程度は織り込み済みだったのではないかと思うが、結果的に丈を伸ばすことになったというのは、反発が思ったより強かったということなんだろう。

いろいろな反応があったようだ。客室乗務員などの「客室乗務員連絡会」がこの制服に対する反対意見を発表し、国土交通省に指導を行うよう働きかけた件は、影響が大きかったかもしれない。この組織にはスカイマークの人たちは入っていないらしいが、同業の人たちだし、まあ一応理屈は通った話だし、反論しづらいものがあろう。スカイマークの人たちも、必ずしも完全に納得はしていなかったのかもしれない。

客室乗務員の制服について 見解
(客室乗務員連絡会2014年2月25日)
客室乗務員は、国際民間航空条約(ICAO)付属書で緊急時の任務、避難誘導、飛行中の客室の機内秩序、保護、訓練についてその任務が明確にされています。わが国ではICAOに準拠した航空法104条、施行規則214条で客室乗務員の任務を詳細に定めています。その具体的任務は、①救命用具、保安備品の点検、②旅客に対する安全姿勢、緊急脱出への周知、③旅客の手荷物収納の確認、④緊急脱出時の誘導、等とされ、「客室の保安」に責任を負っている職種です。

このため客室乗務員の制服は、安全業務遂行の際の高位置、又は低位置の確認作業、緊急着陸時のスライド滑走、緊急着水時のラフト操作やサバイバルの為の諸作業、火災発生時や急減圧の際の処置、急病人発生時の応急措置、乗客への的確な指示などの保安任務を遂行するにあたって支障を生じさせない事を前提とした制服デザインが求められます。

また、航空法第73条の3で「安全阻害行為」が規定され、その内容は、機内の秩序を乱す行為、性的嫌がらせ等も含まれています。これらの行為を未然に防ぐことも客室乗務員の任務とされていますが、その迷惑行為等を誘発しかねないデザインであるとの危惧を持たざるを得ません。

更に、この制服が「集客につながる」と宣伝すること自体、女性を商品として扱うことであり、「安全第一」を使命(航空法第1条)とする航空会社としての見識を疑わざるを得ません。

とはいえ、もし本当に「安全第一」で保安業務などの問題を最重要視してるなら、客室乗務員は全員屈強な男性(女性でもいいけどとにかく屈強な人)にしろって主張にならなきゃおかしいように思う。しかし実際はそうではない。現実として、世界中の航空会社の客室乗務員の多くが女性であり、その服装も、ミニではないにせよ、スカートなど(純粋な保安業務であればそういう選択はしないはずだ)を採用しているところが多いのは、もちろんそういうのも重要ではあるものの、そうでない要素、つまり「接客」が実際には大きな要素になっているから、とみるのが常識だろう。

客室乗務員の制服がモデルチェンジされると大々的に発表されたりするのも、それがアピールポイントであるとの認識を航空会社が持っているからにほかならないし、そうした職業だからこそあれだけ多くの女性たちが憧れ、就職をめざして予備校にまで通っているわけだ。その意味で客室乗務員連絡会の意見のうち、保安業務云々の部分は、はっきりいえば建前論の要素が少なからずあるように思われる。

だからといって別に、ミニスカ制服に賛成とかそういう話ではない。個人的にはこの問題に興味はないし正直あまりこの路線に乗りたくはない(どう考えても誤解されるよね?)のだが、ひとつ思ったことがある。この制服、もともと社長の弁によれば「若さを強調した」というコンセプトなんだろう。

スカイマーク、新制服はミニスカートのワンピース…若さ強調
(Girls Channel 2013/12/19)
新制服は青いワンピースと帽子、黄色を中心とするスカーフで構成。SKYの西久保愼一社長は「若さを強調した」と話している。同社によると、A330-300に乗務するのは、20代の客室乗務員が中心になる予定だという。

だったら、スカートじゃなくてショートパンツにしてればよかったのではないか。足を見せることが「若さを強調」することに直結するのかどうか知らないが、ミニスカートで若さを強調というのはそういう論理だろうから、それと動きやすさを併せ持たせるためにショートパンツというのはありうる選択肢だったんじゃないか。

「ショートパンツ」で画像検索をかけるとさまざまなものが引っかかるので、何が「ショートパンツ」にあたるのかは相当の幅をもっているようだ。おとなしいところではヤクルトレディの制服みたいなのもありえようし、一番「過激」なのというと、たとえばかつて存在したフーターズ航空のようなものも含まれよう。仮に後者に近いものだったとしても、「見えそう」みたいな不安からはかなり解放されるのではないか。

ヤクルトレディ、15年ぶりに夏制服をモデルチェンジ -ヤクルト本社」(マイナビニュース2013/04/25)
【お色気】今は無きフーターズ・エアを写真で見る【航空会社】

「フーターズ航空」を引き合いに出したので付け加えると、要はこの問題、現在のスカイマークの客室乗務員の方々が今回話題になったような「露出」を覚悟の上で勤務してきたわけではない、という点が大きかったのではないかと思う。Wikipediaによると、フーターズ航空は「ゴルフ客を主なターゲットとし、ゴルフ場への直行便」を運行していたとのことで、だからあのような制服でも問題にならなかったのだろう。客室乗務員もそういう服装で接客することを納得の上でやっていたのだと思う。日本ではそもそもそういう路線自体やや考えにくいが、仮にあったとして、もしどうしてもやりたいなら、そういう服装を前提として新たに募集をかければよかったのではないか。この職業の人気を考えれば、それでも応募者はいたのではないかと思う。

個人的には別にどんな服装でもいいんだが、少なくとも裾を気にして仕事されるのは「こっち見んなスケベ」といわれてるような気がするのでかえって気分悪い。どうせ見せるならフーターズ航空のお姉さんたち(乗ったことはないがフーターズのお姉さんたちと同様であるという前提で)ぐらい堂々としていてほしいし、そうでないならむしろふつうの服装でいてくれた方がいい。端的にいえば、私を含む男女双方の多くの乗客にとって客室乗務員の制服は飛行機を利用する際の判断要素として主たるものではないはずで、スカイマークの経営者の皆様には、ぜひ本質的な部分でサービス向上をはかっていただくようお願いしたい。




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