みんなで笠かぶればいい
どうしたわけか、スポーツ以外の部分ではどのニュースもどのニュースも笑うかあきれるかしかないという稀有なテーマとなっている2020年の東京オリンピックだが、ここ数日、巷の話題をさらっているのがこれだ。
東京都の小池百合子知事は5月24日の定例記者会見で、暑さ対策の一環として、”かぶるタイプ”の傘を製作していることを発表した。6月をめどに完成予定という。
見ていると、世間一般の受け止めは(1)あまりの「衝撃」に絶句、(2)これかぶらされてる人かわいそう、(3)傘というより昔からある笠だよね、(4)似たような商品があるのにわざわざ開発したのか?といったあたりで、どうにもさんざんである。まあいいたいことはわかる。この種の商品は以前から存在しているにも関わらず、少なくとも市街地での日常生活においては、スポーツ観戦の際も含め、着用者をついぞ見たことがないわけで、デザインのよしあしはともかく、「非日常」感はきわめて強い。
上掲記事中で小池知事は「男性で日傘を差すのは恥ずかしいという、何か気が引けるという方は、もう思い切ってここまでいったらいかがでしょうか。お勧めしたいと思います」とアピールした、とあるが、日傘を差すことすら恥ずかしいと思うような人がこれを喜んでかぶると考えるとは考えにくい。「もう思い切って」とあるあたり、破れかぶれ感がにじみ出ているような気もするので、わかってないわけではないのだろう。
とはいえ、だ。
せっかく作ったのだし、実用品として売られているぐらいで利便性はあるのだろうし、ぜひ使ってみたらいいと思う。これを「オリンピックの暑さ対策」といわれると「B29に竹槍」感が強すぎて鼻水が出そうだが、ただでさえ暑い東京だ。オリンピックは7月下旬からだったと記憶しているが、本番前年の今年は5月下旬にしてここ数日、恐ろしいほどの暑さになっている。にもかかわらず、日本人は一部の場合、一部の人々を除いて、日傘どころか帽子もほとんどかぶらない生活をしていて、あまり合理的とは思えない。
オリンピックといわず、ふだんから使ったらいいではないか。まずは知事以下、都庁の職員が通勤時に皆かぶるといい。個人的に帽子をよくかぶるのでわかるが、あの手のものは慣れの要素が強い。ふだんからかぶっていれば、かぶる方も見る方もそのうち慣れるのではないか。本番になって世界各国から来られるお客様方が「こんなもの恥ずかしくてかぶれるか!」と忌避したために熱中症になってしまうようなことがあっては、「お・も・て・な・し♡」どころの話ではない。都民の税金で無償配布というのは御免蒙りたいが、オリンピック招致を支持された方々、オリンピックを楽しみにしておられる方々はいうまでもなく、率先してこの笠を購入し、かぶって街を闊歩してくれるものと信じる。まかりまちがって世界で流行すれば新たな「クールジャパン」アイテムとして売り出せるかもしれないでではないか。
私はもちろん、愛用の帽子があるのでそちらを選択するが。
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